顧客になってくれそうな人や企業を見つけ、アプローチをし、商談を進めていく。それがうまくいけば契約まで至ることができるわけですが、この道のりは非常に険しいものとなるでしょう。営業担当者が必ず直面する、契約することの難しさ。アプローチした人や企業全てを顧客とするのは不可能であり、むしろ契約してくれる人や企業の数の方が少なくなるはずです。
だからといって闇雲にアプローチをしてプレゼンテーションを展開していても効率は上がりません。アプローチ対象の選択も重要ですが、その後の商談から契約に至るまでのプロセス、ここにももちろんポイントがいくつもあります。細かな話はほとんどしません。具体的戦略やプレゼンテーションの詳細な手法などではなく、ここで紹介するのはあくまでも考え方。その考え方を意識的に体現できれば、細かな戦略や手法などもその効果を発揮することができるでしょう。
契約までのプロセスで主導権を握れるか否か
アプローチをし、相手が企業だった場合には窓口となる担当者に対してプレゼンテーションを展開。徐々に自社や自社の商品に興味を持ってもらいつつ契約してもらうよう促す。
この工程においていかに主導権を握ることができるか、これが大きなポイントとなることは間違いありません。
商談を行う過程で、おそらく相手が疑問や不安をぶつけてくることが度々あるでしょう。すでに競合他社と契約をしており、そことの関係性が障害となるケースも少なくないはず。
そうした問題や課題を一つずつクリアしていかなければ顧客とはなってくれませんが、そのハードルを超える主導権をこちらが握ることが何よりも重要なのです。
可能であれば、相手が感じるような問題や課題をいち早く察知し、それを早めに解決しておく、あるいは企画提案時などにクリアにしておきましょう。これができれば主導権が、より握りやすくなります。
連絡はこちらから入れる、これも主導権を握るために必要な作業の一つ。「何かあれば連絡します」と相手から言われてたとしても、定期的にこちらから連絡を入れることは忘れず、その度に意義のある提案を用意しておくようにしましょう。また、なかなか契約に至らないようであれば、どこにハードルがあるのかを探るとともに、しっかりと尋ねることも忘れないようにしなければいけません。こちらが予期できなかったハードルがあるかもしれませんから、それを会話の中で聞き取り、即座にそのハードルを下げる手伝いをするよう心がけましょう。
こうして主導権を握り続けていけば、どのような形であっても契約にまで至りやすくなります。何よりも契約を獲得することに主眼を置いてアプローチから商談まで進めていくようにしてください。
相手が契約意思を翻しにくい状況を作る
契約というのは、双方の同意のもので行われるものであり、営業担当者が顧客と契約を結ぶ場合には、商品やサービスを買ったり売ったりという行為を成立させることを意味します。
営業担当者は、相手にそういった意思を持たせることが重要であり、そのためにアプローチやプレゼンテーション、商談などを何度も繰り返し実行するわけです。
その過程で、相手が契約意思をひるがえしにくい状況を作ることができれば、契約にまで至ることができると考えられるでしょう。上で紹介した、主導権を握ることもそのための手法の1つです。
最終的には正式な契約書を交わさなければいけませんが、その前に覚書や申込書のような形で相手からサインをもらっておけば、正式な契約書を交わす道筋をしっかりとつけることに繋がるでしょう。就職活動時の内定のようなものです。商談がうまく進みそうであれば、そうしたことも徐々に視野に入れながら、相手が契約する方向へと誘導していくのもひとつの営業テクニック。上手に振る舞いながら契約へと持っていくようにしてください。
もし相手が渋っているようであれば、例えば契約する数量を減らして契約しやすくするということも考えるべきでしょう。お試し的に導入してもらうだけでも顧客とはなるわけですから、その後の戦略はまた後で考えるとして、どのような形でもいいのでまずは契約へと持っていく、これが営業担当者にとって目指すべきゴールとなります。
もし契約に至らなかった場合は
主導権を握れなかった場合もそうですし、握っていたとしても契約までには至らないケースも出てくるはず。その瞬間は営業活動の失敗を意味することになりますが、しかし、営業担当者はこの失敗を糧としなければいけません。なぜ契約にまで至らなかったのか、それを分析するようにしましょう。
相手に直接尋ねることも大切。その理由いかんによって、次の戦略も変えなければいけません。契約に至らなかった理由を、こちら側がなんとかすることで覆してもらえそうであれば、引き続き接触をしながら関係性を続けていきます。
もし、どう頑張っても契約してもらえそうもなかったら、その人や企業は見切ることもひとつの策でしょう。脈のない相手といつまでも関係性を保っていても時間と労力の無駄でありコストがかかるだけ。ダメならあっさりと引き下がる決断も営業組織には必要なのです。ただ、その場合でも、イベント時や時節の折にはハガキを送るなどで存在を示しておくことを忘れずに。新商品が出た時なども同様です。これだけでも相手の意識の中に自社や自身が存在することになり、何かの時には再び話を聞いてくれるかもしれません。
契約に至らなかった営業活動を、次の営業活動にどう活かすか、これを考えることこそが営業活動管理と言えるのではないでしょうか。