営業活動には戦略も重要ですが、それを遂行するためのテクニックも求められます。営業担当者はそのテクニックをどこまで持っているか、もしくは持つことができるかによって、営業活動及び商談の結果も変わってくるのです。商談相手に良いイメージを持ってもらったまま商談を進め、そして成約まで持っていくために必要なテクニックはどのようなものか、それをいくつかピックアップしていきましょう。ここで挙げたものを備えておけば、少なくとも悪いイメージを持たれることはなくなるはずです。
ストーリーを考えた上で商談の構成を組み立てる
商談で重要なのはストーリー性です。営業担当者が、今回はどのようなストーリーで契約まで持っていくのか、これを事前に考えシミュレーションやトレーニングを積んでおくことが必要になってくるでしょう。
最初はどのようにアプローチし自分の印象をどう感じ取ってもらうのか、これも訓練次第でコントロールすることができるはず。というよりも、コントロールしなければなりません。
商談が始まった後も、商品の何を伝え、また、自社の何を知ってもらいどう感じてもらうのか、これをストーリー仕立てで構成していくことが重要です。
相手をコントロールすることは簡単ではありませんが、それができるようになれば、どのような商談もうまく運ぶことができるでしょう。できるだけ想像を膨らませ、「このようなプレゼンテーションをしたら興味を持ってくれるのではないか」、「こんな伝え方をしたら競合他社との違いを鮮明にできるのではないか」などといったことを考え、それをストーリーとしてまとめあげるようにしてください。営業担当者にはこのように流れを作り上げる能力が必須。いくつかパターンを用意しておき、不測の事態に対応できるようにしておくことも大切です。
顧客の立場に立ち対話型で話を進めていく
営業担当者は、自社や商品の良さを伝えようと自分本位でプレゼンテーションしてしまうことが多々あります。それを実際に受けた商談相手は、きっと困惑してしまうでしょう。「この営業マンは自分のことしか考えていないのだな」と思われてしまう可能性すら出てきてしまうのです。
商談時は、必ず顧客の立場に立ち、相手中心の考え方や内容で進めていくのが基本。商品の説明等をする時でも、相手の立場を理解しているからこその提案であるという点をさりげなく伝え、何よりも顧客にとってメリットが大きいことを表現しなければいけません。また、相手がどのような反応をしてきても、それを否定しないこと、これも大切なポイントとなります。必ず肯定的な反応をし、共感することで信頼関係も増していくと理解しておいてください。
商品やサービス、あるいは相手企業の話以外の、例えば世間話のようなものも時にはするかもしれません。その際は、政治や宗教などの話題を取り上げるのは避けましょう。これはそれぞれに信念や信条を強く持っていることがあり、一歩間違えればその時点で商談決裂となりかねません。
商談は対話型で進めていくことも意識してもらいたいところ。一方的に話してはいけないということとつながりますが、できるだけ相手が意見を述べる機会を多く設け、「この営業マンはずっと話しているな」という印象を持たれないようにしましょう。そもそも、相手の話す機会を奪ってしまうと、次の商談につながる情報も獲得しにくくなってしまいます。自然と顧客の抱える事情や課題、自社の商品に対する疑問や不安、こうしたことが話せるような空気を作り、そこからあらゆる情報をつかみ取って次回以降の商談に活かすことが大切です。
何度も会って商談をしなければならないからこそ、こうした点には注意しながら進めていかなければいけません。
言葉遣いと表現には注意すること
商談時の注意点で欠かすことができないのが、言葉遣いです。正しい日本語はもちろん、正しい敬語を用いながら相手と接しなければいけません。言葉遣いや表現一つで人間性を見極めようとする人もいます。商談相手がそのようなことに厳しい人であれば、言葉が少し乱れただけでも信頼感を持ってくれようとはしませんから、そんなことにならないよう言葉遣いと表現には十分に気をつけておくようにしましょう。
敬語も、尊敬語や謙譲語、そして丁寧語などに分類することができ、相手や場面によって上手に使い分ける必要が出てきます。言葉に少しでも疑問を持ったらすぐに調べ、できるだけ間違いを減らす努力をしなければいけません。
また、専門用語などは多用しないことをおすすめします。自分が理解している言葉を、相手が理解しているとは限りません。日本語で表現できるにもかかわらずカタカナ用語を用いたりすると、たとえそれが伝わったとしても、「格好つけてるのかな?」などと思われてしまうリスクも出てきてしまうでしょう。そう思われた時点で印象が良くなることはなく、むしろ悪くなる可能性すら出てきてしまうのです。もちろんスラングなども同様に、商談の場には適していません。若者の間で使われるような言葉や流行語、ネット上で使われる言葉なども避け、日常的な日本語を用いて話を進めるようにしてください。
表現に焦点を当ててみれば、曖昧な表現を避けることも心がけましょう。「~だと思います」はその内容を断定していないため、相手も不安に思ってしまいます。「~となる予定です」などもできる限り避けたい表現です。このような言い方をするのであれば、その予定はいつ頃になるのかを具体的に伝えなければいけません。
話し方や表情などにも気を遣い演出すること
同じ言葉や文章を発していても、話し方によって相手に伝わる印象が全く変わってくることは、営業マンであればすでに実感しているのではないでしょうか。自分が普段どのような話し方をしているのかを改めて客観的にチェックし、できるだけいい印象を与えるような話し方を身につける努力をしておきましょう。
話し方は、演出することができます。少なくとも商談の時には自らを演出し、あらかじめ作り上げたストーリーの中で理想の営業マンを演じ、相手に好印象を抱いてもらうようにする、これが営業活動をうまくこなしていくポイント。
声は大きすぎても小さすぎてもダメ、スピードも速すぎても遅すぎてもダメ、相手が心地いいと思うような話し方を研究するようにしてください。もっとも伝えたい部分や重要な点に関してはあえてスピードを下げ、声のボリュームも若干上げる、などメリハリをつけた話し方も取り入れてみましょう。できるだけ多くの情報量を伝えるために、細かな説明部分などは少し早めにテンポよく話すなどの演出も必要になってくるでしょう。
また、自信を持って話すことも営業マンであれば意識しておきたいところです。自信のない人の勧める商品やサービスを購入するような人はいません。顧客が企業なら、なおさらそんなことにはならないはず。営業マンは表情や態度などにも自信をみなぎらせ、相手が不安に思わないような演出も心がけなければいけません。ただ、自信過剰となり、相手を見下すような態度や表情、話し方になってしまうのはもちろんNG。極端にならないよう気をつけながら商談を進めていってください。
商談は全て演出です。自らの演出にどれだけ相手を誘い込み、自分の世界に引きずりこむことができるか、ここが勝負の分かれ目。そのための訓練を積みながら徐々に商談の場でそれを表現できるようになっていきましょう。営業マネジャーなど責任ある立場の人間は、それぞれの営業マンがそうした意識が持てるようトレーニングなどを促していかなければいけません。