通常、営業活動は手ぶらでは行いません。よほどトーク術に自信があったとしても、取り扱う商品やサービスに関するカタログくらいは用意していくでしょう。
そのカタログと少し似ているものの、異なる効果を発揮してくれるツールに「アプローチブック」があります。これは営業マンが独自に作成するものであり、カタログでは語り切れない情報を盛り込むことで、より効率的に商談を進めていこうという意図の元で作られるもの。このアプローチブックの存在はもちろん、でき次第で商談がうまくいくかどうかが決まると言っても大げさではありません。
アプローチブックを作成する時には、どのような要素を盛り込み、また、どのようなデザインにしていけばいいのでしょうか。適当に作っても効果は得られませんから、要点をしっかりと押さえながらアプローチブックの作成・準備へと取り掛かっていきましょう。
アプローチブックに盛り込む要素とは?
アプローチブックを作成するには、まずどのような内容を盛り込むのかを考えなければいけません。
営業するわけですから、当然、買ってもらいたい商品やサービスがあるわけです。その商品などのウリは何なのか、そのウリをどう言葉にしたら相手は興味を持つのか、これを考えアプローチブックに落とし込む必要があります。すでに購入したり導入している顧客が存在しているのであれば、アンケートなどを実施し利用者の声を拾い、そこから商品のウリや言葉などの表現を整理していくのもいいでしょう。
その商品やサービスを購入することで、顧客にどのようなメリットがあるのかも整理していきます。特に、顧客が抱える問題や課題を解決できるのかどうか、解決できるのであれば、その根拠はどこにあるのかも言葉にしてまとめていきます。当然、商品の具体的なスペック、他社の商品との比較や相違点、自社の旧商品との比較や相違点、商談に持ち込む商品やサービスの最大のメリットなどを整理し、これも言葉や文章などの表現も工夫しつつまとめていきましょう。
既存の顧客にアンケートを取るというのは、実に有効な手段であり、アプローチブックを作成する際にはぜひ取り入れなければいけません。アプローチブックは根拠を持たせなければいけませんから、既存顧客の使用感や問題・課題解決にどれだけ寄与したのかと言った情報は、アンケートで獲得した上で具体的な数値を伴いながらアプローチブックに落とし込む必要があります。
事例なども掲載しつつ、自社の商品やサービスを既存の顧客が選択した理由も含めリアルな声などでまとめておくと、自社の商品をまだ手に入れていない商談相手も興味を持ってくれるに違いありません。具体的であればあるほど、それが客観的なものであればあるほど説得力が増してきます。それを意識した内容に仕上げていけば、商談相手が興味を持ってくれるアプローチブックを作成することができ、商談も有利に進めやすくなるはずです。
とても重要になるシナリオやフォーマット
アプローチブックは商談と同様に、ストーリーがなければいけません。つまりシナリオの存在が不可欠になるわけですが、これのでき次第でアプローチブックの完成度も変わってくるため、よりシナリオを準備することに心がける必要が出てくるでしょう。
一番に考えるべきは、顧客をどう惹きつけるかといった点。初めてのアプローチでは特に、相手は自社や営業マンに対して強い警戒感や不安感を持ちながら接してきます。それをアプローチブックで少しずつ溶かしていかなければならず、そのためにはシナリオが重要であることは当たり前。インパクトのある導入、今後が気になるような展開、そして納得のいく内容となるようシナリオを組み立てる工夫をしましょう。
相手が抱える問題や課題を最初に打ち出し、自社商品を取り入れればそれを解決できると豪語しながら、さらには相手が感じるであろう細かな不安や疑問なども提示しつつ、その回答も示していくようなシナリオにしていけば、徐々にこちら側へ興味を持ってくれるはず。
ドラマチックな展開と言ったら大げさかもしれませんが、それができれば一気に有利な商談へと持っていくことができるのです。
また、アプローチブックはフォーマットも重要です。いくら内容が良くてもデザインが良くなければ、相手の興味を惹きつけることはできません。統一感があり、見やすさを重視し、内容がスッと入るようなフォーマットを用意しておくことが先決。あらゆるソフトにテンプレートが用意されていますから、アプローチブック作成初心者はこうしたものを活用するといいでしょう。
タイトルの位置、書体、文字数、グラフの配置なども考慮した上で、また、深く吟味しながらフォーマットを整えていってください。ページ数に関しても、できるだけ多くならずに、同じページ内で重要なメッセージを伝えられるようにすると、相手も見やすいと無意識に感じ取ってくれるはずです。
フォーマットが見にくいものであれば良質なシナリオも台無しですから、相乗効果を生むような構成を考えながらアプローチブックの準備を進めていきましょう。それを武器として商談に臨めば、格段に契約へと近づくことができます。