営業実績などを定量的に分析していく作業は、数字が伴うことなので比較的やりやすいでしょう。目に見える部分をデータとして分析していくわけですから、改善箇所も見つけやすいはず。価値観同士がぶつかり合うこともさほど多くはありません。
しかし、定性面での整理と分析を行い、そこから営業活動の効率化を図ろうとすると、これは定量面ほど簡単にはいかない傾向があります。理由は簡単で、目に見えにくい部分の整理・分析を行わなければいけないからです。
それでも、営業効率をアップさせたり、そもそもの営業計画や営業目標を作り上げていく過程においては、この定性面での分析も欠かすことができません。
過去3年から5年間ほどの営業実績データを集め、そこから定性的に分析していきながら、且つ、定量面と合わせて具体的な計画や目標へと昇華させていきましょう。どこに重点を置いてその整理や分析を行っていくべきなのかを紹介していきますので、参考にしつつ各企業や部門へと当てはめていってください。
効率化を図るためのプロセス分析
営業には、必ずプロセスが生じます。営業開始から契約まで、あるいは営業開始から交渉決裂まで、結果はそれぞれありますが、いずれにしても、そこにはプロセスが生じているのです。そのプロセスによって商談が成功するかしないかが別れるのが営業というもの。つまり、この過程の分析にこそ売り上げにつながる、あるいは営業活動の効率化につながるポイントが隠されているわけです。
定性面での分析でまず行わなければならないのが、この営業プロセスの整理・分析と、その改善です。
過去の営業実績を分析していく中で、効率の良いプロセスとも出会えるでしょうし、成功事例とも出会えるでしょう。それと失敗事例とはどこが異なるのかを分析していけば、少なくとも一つの答えが導き出されるはず。また、顧客や経路によってもプロセスは変わってくるため、それぞれの顧客・経路ごとの分析も必要です。
営業プロセスを細分化し、どの部分に成功のポイントがあるのかの分析も必須。営業が成功した事例でも、その全てのプロセスに無駄がなかったとは限りません。その逆も然り。細分化し分析していけば、より効率の良い営業活動手法を見出すことができるのです。
さらに、プロセスには種類があり、例えば、新たな顧客を開拓・確保するための活動過程と、すでに顧客となっている消費者や企業へのフォローとして行われる活動過程とはその内容やアプローチが異なります。もちろん、それぞれに分析を行わなければ意味がありません。
その分析過程において、不必要な部分が見つかることもあるでしょう。そうした点をどう捉え、縮小するのか維持するのかなども意見をぶつけ合いながら整理し、ベストな営業活動手法を作り出していきます。
モチベーションをアップさせる管理分析
営業マンを支えるのは、モチベーションであると言っても過言ではありません。モチベーションがなければ活動にも身が入らず、結果も成果も出てこないでしょう。営業目標を達成することもできずに、企業の利益も出ないままとなってしまいます。このモチベーションをいかに上げていくのか、それを考えるために必要なのが管理分析です。
特にトップダウン型で営業計画や営業目標が決定されてしまう仕組みになっていると、営業マンはモチベーションを維持できずに不満を持つことが多くなってしまいます。調整役として重要な営業マネジャーやリーダーを務める者がその間に入り、両者の言い分やデータに基づく情報などを提示しつつ、両者が納得するよう取りまとめなくてはなりません。
そのために必要となるのが、管理分析なのです。マネジャーという立場であっても営業部に属する従業員全ての心理を把握しているわけではありませんから、そうした精神的な部分や働きと報酬のバランス、部署内の力関係なども分析しながら、適切な提案を上と下の両方に示していく必要が出てくるのです。
データや情報と言っても、その多くは定量的ではなく定性的である点が難しいところ。だからこそ人間力が試され、強いリーダーシップを発揮できるかどうかが重要であると言えるでしょう。高いコミュニケーション能力も試されるところです。
組織や体制の分析で営業の効率化アップ
優秀な人材が揃っていたとしても、営業組織そのものがその人材を活かせるように組み立てられていなければ、成果が出てこない可能性が高まってしまうでしょう。逆に、営業組織に問題がなかったとしても、優秀な人材がいない、あるいは育てられなければ、やはり成果は出てきません。
営業組織がどのように構築されているのか、営業マンは優秀であるかどうか、こうしたことを整理していくことも、定性的な観点から必要な分析となります。
営業組織は企業の一部ですから、他の部門や部署との連携、これも企業全体が業績を上げるためには必要な要素となるでしょう。営業組織を考える時にはこのあたりにも気を遣う必要があります。また、人材確保はもちろん、人材育成の観点からも分析を行い、それらに問題があれば手を加えていかなければいけません。
営業組織を内側だけから見るのではなく、例えば、社外から見た印象や満足度などのデータも集めながら、組織の再構築に役立てていく意識も求められます。外部から見れば、内部が自身に抱く印象とはまるで異なるイメージを持っていることもあるでしょう。それがわかれば組織や体制を考え直す時にも大いに参考になるはずです。
定量的な分析とは異なり、非常に具体性に欠けるという印象の強い定性的な分析。しかし、疎かにすることはできません。数字に表れない部分の分析を行うことで、営業効率は驚くほど変わってくるもの。企業の発展には欠かせないことと認識し、これらの整理・分析に尽力するようにしてください。