テリトリー制は、営業活動効率を改善させる、あるいは良くするためのシステムです。営業活動を行う地域を限定(テリトリー化)することで、それを実現します。
この制度は確かに効率化に寄与するものなのですが、このシステムを取り入れたからといって、必ず成功するとは限りません。成功させるためには適切なテリトリー設定をしなければならず、また、重要な経営資源である人材、つまり現場で実際に営業活動を行う営業マンをどう配置するのか、これが重要なポイントとなってくるのです。
ここでは特に後者、経営資源である人材の配置についてまとめていきます。ここで間違えれば、テリトリー制のメリットを最大限得ることはできないと認識しておきましょう。
テリトリー制における営業マネジャーと営業マンの役割
テリトリー制の導入に伴って、テリトリーを設定し、そこに営業マンを配置することが、営業マネジャーの大きな役割となってきます。さらに上の組織がテリトリー分けを行うこともありますが、営業マンの配置はそれぞれの能力を把握している営業マネジャーが行うのが一般的。
また、これらの営業マンを管理することも営業マネジャーに任された役割であり、重要な任務となってくるでしょう。営業マンを管理することで、それぞれのテリトリーの情報を把握することが可能となります。営業マネジャーは、それを元にそれぞれの地域での営業活動戦略を練ることができるようになるのです。もちろん、この戦略を練ることも、営業マネジャーの重要な役割となってくることは言うまでもありません。
それぞれのテリトリーを任された各営業マンは、そのテリトリーにいる顧客に対してアプローチしていきます。商品やサービスを売り込む営業活動はもちろんですが、そこから顧客や市場のニーズを汲み取り、それを営業部へと持ち帰るのも、営業マンに託された役割となるでしょう。
エリアを区分することで営業マンの行動範囲は限られますが、だからこそ濃い情報を得ることができる、それがテリトリー制のメリットです。営業マンが情報を得られなければ、営業活動も成就はしません。この役割を全うすることが、テリトリー制の成功につながるのです。
適材適所の人材配置が可能であるのもテリトリー制の利点
テリトリーというのは、同じような性質・特性を持った地域ごと、あるいは顧客ごとに区分されるものです。全く異なった地域性であったり人々の価値観がバラバラに混在するようなテリトリー分けではこのシステムを導入した意味がなく、営業活動の効率化も図ることができません。
同じような性質や特徴を持った地域・顧客に分けるということは、それぞれに見合った営業マンを配置することが可能となるということでもあります。これも、テリトリー制の利点の一つ。
営業マンは重要な経営資源です。その能力を遺憾なく発揮してもらうためには適材適所の人材配置がポイントとなりますが、テリトリー制はまさにそれが可能となるシステムと言えるでしょう。
例えば、家族世帯の多い地域を担当する営業マンは、独身よりも家庭を持っている人の方が、より顧客や消費者のニーズを掴むことがしやすいと考えることができます。
特定の業界の事業所の多いエリアを担当する営業マンであれば、その業界に詳しい人材を配置した方が、営業活動の効率は良くなるでしょう。
テリトリー分けをすることで、それぞれに適した人材を配置することができ、これによってスムーズに確実に戦略を遂行することに寄与し、それが営業利益にも直結すると考えることができるのです。裏を返せば、適材適所の人材配置ができなければテリトリー制の利点を生かすことができず、営業活動も効率化できません。それを十分に認識しながら、テリトリー制の導入と適切な人材配置を行う必要があります。
各テリトリーへの人材配置に必要な情報・データとは
テリトリーを分け設定するときには、さまざまな条件や情報などを精査しなければなりません。それと同様に、各テリトリーに人材を配置するときには多くの情報やデータを元にそれを決定していくことが求められます。また、各テリトリーの特徴によっても、配置する人材を見極める必要が出てくるでしょう。
すでに自社の顧客となっている人や事業所が多くあるテリトリー、潜在顧客の多いテリトリー、競合他社が多くのシェアを占めているテリトリーなどに分割した場合、順に、まだ経験の浅い営業マン、経験豊富で新規顧客の開拓にそのキャリアを発揮できる営業マン、市場や業界、他社の状況に詳しい営業マンを配置するなど、それぞれのエリアに適した人材配置を行わなければいけません。
これを適切に行うためには、例えばテリトリーごとの既存顧客数、潜在顧客数、潜在需要額などの情報を集めなければいけませんし、営業マンごとの能力や実績もデータ化しておかなければならないでしょう。また、地域や顧客別の取引データなども必要になります。加えて、各テリトリーごとの競合他社のシェアや実績などの情報も整理しなければ、適切な人材配置はできないはず。
地域性や住んでいる人の特性、事業者などの特徴も整理しつつ、それと同時に数値や数字でまとめられる情報やデータ、こうしたものも参考にしながら人材配置を的確に行う、これがテリトリー制を成功させるためには必要不可欠であると認識しておかなければいけません。