ざっくりとした営業目標であれば、そう悩むこともなく簡単に設定することができるでしょう。しかし、それをそのまま最終目標として決定することはできません。その営業目標が理に適ったものなのかなどを考えなければならず、もし的外れなものであれば、営業活動にも弊害が出てきてしまうからです。
ここでは予算案を調整する際のポイントについてまとめていきたいと思います。どのように調整していくのか、目標値の調整のために意識すべきことは何なのかなどについて掘り下げていきましょう。
各営業目標設定時に優先させるべき客観性と関係者のコンセンサス
営業目標は、非常にさまざまな項目にわたって、それを考え決定していかなければいけません。売上高や利益率、商品回転率、販売費・管理費など、その項目は多岐に渡ります。それぞれの目標を設定する際に重要なのが客観性です。主観のみの目標設定では、それに妥当性があると判断できません。ある一部の人たちの主観のみで目標を決めてしまえば、残りの人たちからの反感を買うことにもなりかねませんから、必ず客観性を持たせることが必要となってきます。
残りの人たちからの反感という点で言えば、関係者のコンセンサスを得ることも重要でしょう。同意とまではいかなくても、納得を得る努力はしなければ、組織として成り立たないはず。特に不満を抱えがちな現場で汗をかく営業マンのコンセンサス、これは非常に重要であり、これこそが営業目標の調整に必要な要素となってくることは間違いありません。
もちろん、現場の声を100%取り入れることも難しいでしょう。だからこそ営業マネジャーの調整力が問われてくるのです。関係者を納得させ、しかし企業にとっても営業部にとってもメリットのある目標を設定するにはどうすればいいのか、まさに調整力が問われる部分となります。
予算調整に必要なデータとは
関係者にコンセンサスを得る、関係者を納得させる、そして客観性を持たせる、これらを全てクリアするには、それだけのデータが必要となります。具体的データなしに提案することなどできませんし、調整を行うことも不可能でしょう。
各予算を調整するには、売上高、売上原価、売上利益、販売費、管理費、人件費、営業利益、商品回転率などそれぞれの項目に対し、会社方針、営業部の積み上げ予算、見込み売上高、実績傾向予測額などのデータを算出しておく必要があります、また、それぞれに対しての対前年伸び率も計算しておくといいでしょう。
加えて、それぞれの予算を調整する際には、会社方針を重視するのか、それとも積み上げ予算を重視するのか、さらには見込み売上高を重視するのかなど、どの要素を重視して調整するのかも決定しておく必要があります。重視する要素によって予算案も変わってきますし、調整方法も変わってくるはず。客観性の度合いや納得させる先も変わってくるでしょう。
これらのデータを参考にしながらも、しかし、実際に達成が可能かどうか、より現実的に考えることも重要です。夢物語であれば誰でも書き上げることができますが、それが夢物語で終わらないようにするためには、実現性も無視はできません。また、それぞれの項目の擦り合わせも大切な作業となるはず。売上を上げようと思えば、その分人件費も上がる可能性があるが、そのバランスは取れているのか、なども考えながら調整していきましょう。
細かい調整ができてこそ意味を持つのが予算案
目標や予算案というのは細かな調整を何度も行い、それに伴って何度も具体的数値の算出を繰り返しながら出来上がっていくものです。おそらく全ての人が納得のいくような予算案の提案というのは難しいでしょう。それでも最終的にはどこかに落としどころを見つけなければなりません。そのために必要となるのが調整能力とリーダーシップ、そしてコミュニケーション能力など、営業マネジャーに求められるスキルの数々なのです。
現場が納得しても、それが前年と比較して利益等が下回っていては、何のために目標を調整したのかわかりませんよね。逆も然りです。この細かな調整は想像以上に大変な作業となりますが、だからこそ営業マネジャーの存在意義が出てくると認識し、また、自覚しておく必要があります。
数字の上でもそうですが、人同士においても細かな調整ができてこそ、その予算案に大きな意味が生まれると考えておきましょう。