近年、商品の宣伝や顧客の動向を調べる目的で、企業がSNSを利用することが増えています。手軽に投稿できる点、拡散力がある点などから、新たなマーケティングツールとして重宝されています。
その一方で、SNS上の不用意な発言や行動により、またたく間にネット上に誹謗中傷が集まる、いわゆる“SNS炎上”という事態が増えています。飲食店の従業員による、不衛生な行いをSNS上にアップする“バイトテロ”が世間を騒がしたのは記憶に新しいでしょう。
SNS炎上を防ぐためには、企業はどのように対策をしていけばいいのでしょう。実際に起きた事例を参考に紹介しながら、対策法をまとめていきたいと思います。
【SNSユーザーからの指摘が拡散される】
2015年に某有名テーマパークの公式Twitterアカウントで「なんでもない日おめでとう。」と投稿されました。これは歌の歌詞の一部を載せたもので、一見すると内容には問題ないように思えますが、投稿された日が8月9日でした。8月9日は長崎に原爆が落とされた日であり、「なんでもない日ではない」と一部のユーザーから批判を浴びました。
このように、ユーザーからの指摘は様々なパターンがあり、企業も思ってもいなかった指摘から一気にSNS上で拡散されて炎上してしまう…という流れが多いです。
【バイトテロ】
“バイトテロ”とは先述した通り、従業員による不適切な言動が、SNS上にアップされて拡散されることです。
主に飲食物を取り扱う企業の従業員が、不衛生な行動を面白おかしく動画に記録してSNSにアップ。その後、個人や企業に批判が集まり、テレビなどのメディアでも取り上げられ、事態の収束には時間がかかってしまうという流れが多いです。バイトテロにより企業の大きなイメージダウンに繋がり、店舗数の縮小、株価の暴落などの深刻な事態に陥った例もあります。
【従業員による機密情報の流出】
とある市役所に勤める女性職員が、ごく普通の卓上の飲食物の写真をSNSにアップしました。しかしその画像には、女性が事務処理を担当していた企業の固定資産税申告書が写りこんでおり、情報漏えいを指摘する匿名メールで事態が発覚しました。市は謝罪しましたが、たちまちネットで炎上し、市に対する批判が相次ぎました。
このようなSNS炎上をできるだけ回避するためには、どのような対策をとればいいでしょうか。
・社内向けセミナー
バイトテロ、個人による情報漏えいは、従業員の個人アカウントが炎上の発端となっています。
従業員に向けてネットリスクへの理解や、SNSを利用する際の注意点を教育する必要があるでしょう。
・ダブルチェック
ユーザーからの指摘の拡散は、誰が見ても悪意を感じる内容というより、見る人によっては不快感を与える、言葉足らずが誤解を生むことが多いです。
それを防ぐためには、企業アカウントからの投稿は、担当者のみではなく、複数人によるダブルチェックが有効です。
・リスクマニュアルを作成
SNS炎上を含め、情報漏えいなどの事態が起きた際には、企業の素早い対応が求められます。
個人がSNS炎上を引き起こしてしまった場合には、どこの部署に報告すれば良いのか、また炎上内容によっては謝罪文の提出の必要があるので、炎上の内容に沿った具体的な対応方法などを、明確にフロー化しておく事態の素早い沈静化につながります。
残念な事ではありますが、企業が何かしらの目的でSNSを利用している以上、炎上は避けられないと思っておいた方がいいでしょう。
もし、SNSが炎上してしまったら、
①SNS運用を一時ストップ
↓
②担当部署、関係各社に報告
↓
③謝罪文を投稿
↓
④検索補助キーワード“ネガティブサジェスト”の削除依頼をする
この①〜④という流れをいかに素早く行えるかがポイントとなります。具体的には次のようなアクションを起こします。具体的には以下の通りです。
以上が具体的な流れになります。あまり知られていないようですが、検索補助キーワードに印象が悪くなるような単語が出ることを、“ネガティブサジェスト”といいます。グーグルでは事実無根や名誉毀損に当たるキーワードの削除依頼をすることができ、専用の申請フォームもあります。これを活用しない手はないでしょう。
「自分の企業のサービスを利用していた人がネガティブサジェストを目の当たりにして利用を取りやめる…」「就活生がネガティブサジェストにより、ブラック企業と思い込んでしまい志願しなくなる…」そんな二次被害を避けるためにも、ネガティブサジェストの削除依頼はしておくべきです。
(まとめ)
SNSは企業の宣伝をするにも手軽で便利なツールです。しかしSNSを利用するということは、炎上が避けては通れないことを肝に命じなければなりません。企業内で、SNS炎上の対策をしっかりと共有し、炎上予防、炎上した際の迅速な対応を行えば、炎上を逆手に取った企業のイメージアップにも繋がるということもあるでしょう。
しかし対処法として、今回ご紹介したフローを役員や運用担当者としっかりと共有しておく必要はあると思います。炎上を恐れずに、SNSとうまく付き合っていくことが大切ですね。
【文責:編集部】