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  • 「熟年離婚の危機」を回避する秘策とは!?
    その2
  • 「熟年離婚の危機」を回避する秘策とは!?
    その2

    2019/07/04  夫婦家族

    こんにちは! 弁護士の小原です。

    『熟年離婚の危機を回避する秘策とは!? 』の続きです。

    前回「奥さんの価値観に寄り添い、奥さん目線でのコミュニケーションを活性化させる」……これを熟年離婚の危機のそれぞれのステージごとで実践していくことが、熟年離婚の危機を回避する極意だというお話をしました。

    では、それぞれのステージごとで、どのような施策を実践していけばよいのでしょうか?

     

    離婚回避! 「ケンカ」と「交渉」の違い

    あなたはそもそも「奥さんの価値観に寄り添う」ということを、具体的にイメージできるでしょうか?

    ここを具体的にイメージしていただくためには、まず、「交渉術」についてお話しする必要があります。何か物々しい感じがしますが、難しいことではありません。

     

    「価値観」という「目に見えない存在」に寄り添っていくためには、相手との密接なコミュニケーションが必要不可欠になります。相手との信頼関係を深め、心を通わせなければ、相手の価値観に寄り添うことなどできません。そのためには密接なコミュニケーションが必要不可欠。そして、その必須スキルこそが、交渉術なのです。

     

    弁護士の業務というと、裁判、訴訟という「相手を打ち負かすケンカ」と思われがちです。もちろん、ケンカもします。しかし、弁護士の職務の究極の目的は、「ご依頼いただいたクライアント様に最大限の利益をもたらすこと」です。法的トラブルを抱えたクライアント様にとって、最大の利益は、「最小限のコスト(時間、お金、労力)で法的トラブルを解決すること」です。つまり、クライアント様にとって最良の解決策をご提案し、実践し、結果を出すこと、です。

    なので、相手とケンカすることがクライアント様にとって最良の解決策であれば、躊躇なくケンカもします。

     

    しかし、ケンカが常に最良の解決策とは限りません。話し合いの余地があるなら、話し合ってトラブルを解決する方がよい場合もあります。相手と話し合い、交渉し、譲るべきところは譲り、相手にも譲らせるべきところは譲らせることで、短期間で合意形成をし、和解や示談でトラブルを解決できるなら、あえてケンカをすべきではありません。

    このように、相手と話し合い、交渉して妥協点を探り、ケンカをせずにトラブルを速やかに収束させるために必須の技術が「交渉術」です。

     

    相手の「信念」「価値観」は絶対に潰してはいけない

    交渉術には様々なテクニックがありますが、ここでは細かいテクニックのお話はしません。小手先のテクニックではなく、本質的な原理原則のお話をします。

     

    離婚の危機を回避するには、小手先のテクニックは逆効果になりかねません。必要なことは、「相手の想いを正面から受け止め、自分の想いを正面から伝え、お互いの想いを心から共有する」ということです。

    そのために必要な交渉術の本質的な原理原則とは?

    それは、「決して相手の信念や価値観を否定しない」ということです。

    「相手の想いを正面から受け止め、自分の想いを正面から伝える」ということを「本音を正面からぶつけ合う」「議論をガチで戦わせる」ことと勘違いしてしまう人がいます。

    「本音を正面からぶつけ合う」「議論をガチで戦わせる」

    ……このような関係性がヒートアップしていくと、何が起こるでしょう?

    それは、相手の信念や価値観を真っ向から否定し、叩き潰してしまう、ということです。否定された当の本人からすれば、「自分の人格そのものを否定された」ほどのショックを受けてしまいかねません。

    そんな状態で相手と信頼関係を深め、心を通わせることができるでしょうか?

    密接なコミュニケーションを取っていくことができるでしょうか?

    答えは明らかに、ノーです。これでは、相手との信頼関係は完全に崩壊してしまいます。

    なので、相手の信念や価値観を否定するような言動は、絶対にNGです。

     

    交渉術の極意:「寄り添う」

    相手と信頼関係を深め、心を通わせるために必要なことは、相手の信念や価値観を否定することではなく、まず最初に、相手の信念や価値観を認める、ということです。

    あなたの信念や価値観を相手に受け入れてもらいたいなら、まず最初に、相手の信念や価値観を、あなたが認めてあげなければなりません。

    そのうえで、あなたは、「相手の信念や価値観と矛盾しない新たな信念や価値観」を提示すればよいのです。

    たとえば、あなたが生命保険のセールスパーソンだとします。

    相手(お客様)が生命保険について「生命保険というのは、万が一のための備え。自分にはまとまった定期預金があるので、生命保険なんて契約する必要はない」という信念や価値観を持っている、とします。

    それなのに、あなたがその信念や価値観を真っ向から否定して、「いやいや、それはダメです。備えは絶対必要ですよ! 預金だけではリスクをコントロールするのは厳しいです。そもそも生命保険というものは……」と、いくら熱弁をふるっても無理なものは無理。

    そうではなくて、「そうですね。おっしゃるとおりですね。あなたのようにマネーリテラシーの高い方には、備えは必要ありません。ところで、こういうお話があるんですが、どう思われます? 」

    ……という感じで、「節税」とか「資産運用」とか、相手の信念や価値観と矛盾しない新たな信念や価値観を提案しなければならないわけです。あなたが財務や資産運用の専門家で、お客様のニーズにマッチした、生命保険を使った節税や資産運用の効果的なプランを提示すれば、お客様はあなたを信頼し、成約につながる可能性が高まります。

     

    ……おわかりでしょうか?

    これが交渉術の極意ともいえる「寄り添う」ということです。

    相手の信念や価値観を否定しない。自分の信念や価値観を相手に押し付けない。

    まず先に相手の信念や価値観を認め、しかる後に自分の信念や価値観を、相手の信念や価値観と矛盾しない形で提示していくわけです。

     

    この極意をどう実践するのか、離婚の危機のそれぞれのステージごとに、どのように実践していくのか、については、次回詳しくお話させていただきます。

    「熟年離婚の危機」を回避する秘策とは!? その3

    この記事を書いた人の情報
    obara
    小原恒之(おばら・ちかゆき)

    弁護士法人リーガルスピリット代表弁護士
    合同会社リーガルスピリット代表
    (グループホーム「ブライトサイド」運営)

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