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  • 熟年離婚で会社が倒産!?
  • 熟年離婚で会社が倒産!?

    2019/06/07  夫婦家族

    離婚に伴う「お金」の問題……それは個人だけの問題ではありません! 上手に手続きを行わないと、経営者であるあなたの大切な「会社」までがなくなってしまう可能性が! 知らないと怖い「熟年離婚」の真実を小原恒之弁護士にうかがいます。

     

     

    「株式」を買い取らなかったら、さあ大変!

    こんにちは! 弁護士の小原です。

    今日は、『熟年離婚』の続きをお話しします。

    前回お話ししましたが、経営者の熟年離婚は、高額な財産分与などで、とんでもなくお金がかかります。下手をすると会社が傾きかねません。

    熟年離婚をするには、それなりの覚悟が必要です。

    今回のお話は、経営者が熟年離婚する場合に、財産分与で特に厄介な問題についてです。

    ……それは、あなたの会社の自社株の問題です。

    もし、あなたの奥さんがあなたの会社の役員になっていて、自社株を保有しているとしたら……。

    その株式は、あなたが買い取ることになります。

    正確に言うと、あなたが保有している株式も、奥さんが保有している株式も、どちらも財産分与の対象になります。

    たとえば、あなたも奥さんも、どちらも100株ずつ保有しているとすると、財産分与で100株ずつ分け合う、ということになります。

    でも、離婚したら奥さんは赤の他人になります。

    赤の他人に大切な会社の株を持たせている訳にはいきませんので、当然、社長であるあなたが買い取らなければなりません。

    結局のところ、あなたが奥さんに、100株相当の時価金額を、お金で渡してあげなければならない、ということになります。

    あなたの会社が健全に運営されていて、順調に利益を上げている、優良な企業であればあるほど、その時価金額は高くなります。

    ですから、財産分与で奥さんの持ち株を買い取るために、とんでもない金額を用意しなければならなくなる、ということです。

     

    「議決権」の存在を忘れるな!

    でも、ちょっと待ってください。

     

    もし、あなたの持ち株が全体の過半数を占めていて、奥さんの持ち株が過半数に届いていないのなら、とりあえず奥さんにそのまま株式を持たせておいてもいいのでは?

    そして後でお金ができたときに買い取ったっていいのでは?

     

    ……そう考えたあなた。

    それは大間違いです。

    もし、そんなことを実行したら、とんでもないことになります。下手をすると、あなたの大切な会社が倒産しかねないのです。

     

    中小企業の場合は、安定した会社経営を維持していくためには、最低でも3分の2以上の自社株を社長が保有しなければなりません。

    はっきり言って、過半数持っているだけでは全然足りていないのです。

    株式というのは、株主が持つ「会社の所有権」ということになりますが、具体的には、議決権という権利と受益権という権利に別れます。

    受益権というのは、株式数に応じて利益配当を受ける権利です。

    そして、議決権は、会社経営のための重要な意思決定を行う権利です。

    ですから、議決権は、会社経営に絶対不可欠の重要な権利です。

    定款の変更や合併、営業譲渡、株式の発行、資本の減少などの重要な事柄を決めるのが議決権になります。

    こういった重要な事柄は、議決権の3分の2以上で決めなければなりません

    これが「特別決議」というものです。

     

    「黒字倒産」という最悪の事態も?

    もし、財産分与の結果、社長であるあなたが3分の2以上の株式を保有できなくなったら?

    たとえば、新たなビジネスチャンスが現れて、そこに新規参入しようとしているのに、その事業が定款の目的に入っていない場合(たとえば、あなたの会社が通販事業をしていて、これから新たにAIなどの技術系の事業に参入したい、というような場合ですね)……。ぞう、定款を変更しなければなりませんね。

    でも、3分の2以上の議決権がないと、定款を変更できないのです。

    定款を変更できず、目の前のチャンスをみすみす見逃してしまうことになります。

    同じように、新しい業界に新規参入するために、その業界の会社を買収したり、合併したりする場合……。

    やはり3分の2以上の議決権がないと、営業譲渡や合併ができないのです。

    あるいは、資金繰りが厳しくなって、資本金の一部を取り崩して資金を調達するために、資本の減少をしようという場合……。

    でも、3分の2以上の議決権がないと、資本の減少はできないのです。

    最悪の場合、資金を調達できず、会社が倒産してしまいます(一時的な資金調達ができないばっかりに、健全な会社が「黒字倒産」してしまう、という恐ろしい事態が結構起こっていますね)。

     

    おわかりいただけましたか?

    これが、株式は過半数だけ持っていても全然足りていない理由です。

    最低でも3分の2以上持っていなければなりません。

    では、3分の2でよいのか、というと、中小企業の場合、100%全株を社長が保有するのが理想です。

    それまでは、夫婦合わせて100%でよかったのですが、離婚して別々の道を歩むのであれば、今後は社長1人が100%全株を保有するのがベストです。

    たとえ3分の2を持っていても、残り3分の1の株主と協議してやらなけれならないとなると、スピードが著しくそがれてしまいます。

    まして、その残り3分の1の株主が「別れた元妻」だとしたら……。

    考えただけでも、やり辛いです。スムーズな意思決定などあり得なくなってしまいます。

     

    熟年離婚したいあなたの会社の株式を、奥さんが保有している場合には、とにかく問答無用で奥さんの株式は買い取ってください!

    買取り資金の確保は確かに頭の痛い大問題ですが、会社が倒産するよりはマシです。

    繰り返しますが、熟年離婚をするには、大きな覚悟が必要です……。

    この記事を書いた人の情報
    obara
    小原恒之(おばら・ちかゆき)

    弁護士法人リーガルスピリット代表弁護士
    合同会社リーガルスピリット代表
    (グループホーム「ブライトサイド」運営)

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