学校であっても会社であっても、そしてスポーツの世界であっても、教育や育成を行うためにはプログラムやシステムを構築しておかなければなりません。行き当たりばったりで育成などできるはずもなく、それでは優秀な人材を育て上げることなどできないでしょう。
企業の場合、営業部門には顧客に働きかけ契約を結ぶための人材が必要です。営業マンがその役割を担うわけですが、営業組織としてはこの営業マンをいかに上手に育てられるか、ここも大きな仕事のひとつとなるはずです。
営業マネジャーは自身も営業活動を行いますし、個々の営業マンの管理も行いながら戦略や目標を立てたりなどもしなければいけません。それと同時に育成にも注力しなければならず、その役割は非常に重要なものとなってきます。営業マネジャーにかかる負担はとても大きいわけですが、だからこそしっかりと構築しておく必要があるのが育成システムなのです。
この点についてさらに掘り下げ、また、営業マンを育てる時に多用される手法についても取り上げてみましょう。しっかりと押さえておけば、有能な営業マンを育成するために役立たせられるのではないでしょうか。
教育指導者が理解しておくべき育成システム
営業マネジャーは、部下の営業マンを育てる役割を担っていることを考えれば、いわば教育指導者という立場にもなるわけです。その指導者が育成システムを理解していないことなどあり得ません。育成システムや教育体系などと呼ばれるものは、企業や営業部の中である程度確立されているものもあるでしょう。営業マネジャーが主体となって構築することもあるかもしれません。世間一般の営業マンを育てるためのシステムを導入する企業もあるはず。いずれにしても、マネジャー自身がそれを理解していないと話にならないのが、営業マンへの教育であり育成なのです。
すでにシステムが存在しているからといって、それに任せっきりになることは非常に危険。マネジャーが、「なぜそのシステムで優秀な営業マンが育つのか」といった点や、「システムの中の要素や過程にはどのような意義や効果があるのか」などについて理解していなければ、ただそのシステムに当てはめられている営業マンも困惑してしまうでしょう。教育指導者が教育内容やその効果について知らないわけですから当然です。
営業マネジャーは、営業マンを育成するためのシステムや体系を理解しつつ、そこにマネジャー独自の、あるいはそれぞれの営業マンに合わせた指導の仕方を取り入れていかなければいけません。ここまでできて、初めて成果を残すことができる営業マンを育て上げることが可能となると思っておきましょう。
営業マン育成の核となる方法を紹介
実践なくして、成長することはできません。何事も実際に経験してこそ、学ぶものがあるのです。失敗することもあるでしょう、だからこそ成長するのが人間というもの。営業マンも、実際に営業活動を通してでなければ身につかないスキルがあり、手に入れることができない知識があります。それをできるだけ早めに獲得させてあげるための育成手法が「OJT」と呼ばれるものです。営業マン育成の核となるのは、このOJTであることをしっかりと理解しておいてください。
顧客に対し失礼なことをして、商談がうまくいかないなんてことになると困るという考え方から、若くまだ未熟な営業マンを顧客との商談に連れていかないようにしている人もいるようです。これでは、いつまで経っても営業マンとして独り立ちできませんし、そこに到達するまでの期間もただただ長くなってしまうだけでしょう。営業マンは現場で学ばせること、これが育成の基本。そして、そのトレーニング手法がOJTなのです。
これだけで育成できる場合もあるかもしれませんが、しかし、それに加えて、他にもいくつかの手法を取り入れることをお勧めします。例えば、「Off-JT」と呼ばれるもの。これは現場や営業マンが普段している業務とは異なるステージでトレーニングを行うこと。OJTと並行してこのような手法も取り入れることで、より優秀な営業マンを、より早く育成することができるはずです。
その他、人事制度による育成や営業マン自身の自己啓発による成長なども育成システムに組み入れていかなければいけません。これらの手法がうまく重なり合うことによって、成果を確実に残せる営業マンが誕生すると理解しておきましょう。もちろん理解しただけでは不十分。その上で実践し、必要であれば営業マン自らに実行させる、そう促していくことが営業マネジャーに任された重要な仕事であり、効果的な育成には必要になってくるのです。
