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  • リモートワーク開始からたった4ヶ月でオフィスを廃止した中小企業の実例で分かったリモート化の本当のカギ
  • リモートワーク開始からたった4ヶ月でオフィスを廃止した中小企業の実例で分かったリモート化の本当のカギ

    2020/08/05  マネジメント

    新型コロナウイルスの感染拡大によって強制的に始まったリモートワーク。いまだ終息が見えず、事態の長期化が避けられない中、完全テレワークを見据え、オフィスの半減を宣言する大企業も出てくる一方で、中小企業を中心に再び出社勤務に戻る企業も増えています。

    実は私たちの会社(しごとのプロ出版)も……。

    緊急事態宣言による突然のテレワークから4ヶ月でオフィスを廃止し、完全テレワークに移行したのです!

    緊急事態宣言の発令で急遽始まったテレワーク

     

    新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言の発令が近いと見込まれていた4月5日、社内で緊急の経営管理ミーティングが開かれました。そこでのテーマは緊急事態宣言に伴う事務所の閉鎖と全職員の在宅勤務について。

     

    私たちの会社は、FP向けの集合研修など、対面での講座開催がメイン事業。これまでも一部業務についてはリモートワークが行われていましたが、業務環境の基本はオフィスへの出社が前提でした。十分な準備期間もない中、全社員一斉のリモートワーク体制への移行には大きな不安もありましたが、熟慮の末、スタッフの健康を第一に考え、ミーティングの翌日からの全スタッフのリモートワークへの移行を決めました。

     

    幸い私たちは、将来的な株式上場も視野に基幹システムのクラウド化を進めており、チャットワーク、Gsuiteといったツールを活用することで、すでに多くの業務が在宅から行える状況にはありました。

    ただし、半数以上のスタッフはオフィスでの業務がメインで、在宅での業務は想定外のこと。自宅には業務環境が整っていませんでした。そのため、まず取り組んだ課題が「スタッフの在宅での業務環境の改善」です。経営管理部が主体となり、会社のディスプレイの持ち帰りを認めるなど、環境整備に必要な物品をサポートを行いました。意外に多かったのが椅子の問題。長時間のPC作業で腰の痛みを訴えるスタッフも何人かいたため、「どんな椅子が疲れないか……」などの情報をシェアしたりしました。

     

    勤怠管理の課題を解決したのは〇〇だった

     

    もう一つの大きな課題は、スタッフの勤怠管理。これまではスタッフ各自がタイムシートを提出することで勤怠管理を行っていましたが、一人一人の勤務状況が見えないリモートワークにおいては、そのままのやり方で適切な管理が行えるのか不安もありました。

     

    そこで、導入されたのがZOOMによるオンラインでの朝礼と終礼です。

    始業時間の9時に必ず全職員がZOOMで集合し、その日のスケジュールや各自の取り組む業務内容を共有。そして、終業時刻の17:30には再びZOOMで集まり、その日の進捗状況を報告します。

    プライベートと仕事の区別がつきにくい在宅勤務では、時間の自己管理に不安を感じるスタッフもいます。朝礼のために決まった時間に起き準備をし、終礼でその日の仕事にしっかりと区切りをつける事により生活のリズムが保ちやすいこの取り組みは、結果としてほとんどのスタッフに好意的に受け入れられました。

     

    また、朝礼・終礼では毎回必ず誰か一人が、自由に思ったことを発言する「今日の一言」のコーナーが設けられました。仕事に関することに限らず、その日の個人的なトピックやニュースに関する話題などテーマは自由。その人のこれまで知らなかった一面が垣間見れたり、他者に対する感謝や仕事に対する思いなどを共有することでスタッフ間のコミュニケーションは深まりました。朝礼・終礼は、孤独を感じがちなリモートワークの中でほんの数分ですが心の安らぎを感じられる貴重な時間となりました。

     5月31日の緊急事態宣言の解除を前に、社内で行ったアンケートの結果、90%以上のスタッフがリモートワークを今後も継続したいという意向を持っていることがわかりました。

     

    順調なリモートワークへの移行にオフィスの返上を決意

     

    予想以上に順調に進むリモートワークへの移行。その一方で、緊急事態宣言が解除された以降も収束の見通しは立たず長期化が避けられそうもないコロナの影響。それを考えたとき、一つの可能性が浮上します。オフィスの賃貸契約の解消です。

    固定費の大きな割合を占める事務所の賃貸料。そして通勤にかかる交通費削減することは、先の見えない経済状況の中で、会社の財務基盤強化に大きく寄与します。社内で大きな異論が出ることもなく、私たちははオフィスの廃止を決めました。そして、すぐに物件オーナーと交渉を開始し、最短で7月末でのオフィスの解約が決まったのです。

     

    8月からは社長の自宅2階を改装し、スタッフが集まれる新オフィスを開設しました。とはいえ、原則はテレワーク。週に1回のミーティングの際などオフラインのコミュニケーションの必要性などを勘案し、出社をするスタッフもいれば、オンラインで参加するスタッフもいます。

     

     「システムやノウハウを取り入れるだけではなく、スタッフ間でゴールを共有し、それぞれがプロとしてそれぞれのミッションを遂行する。そういったチームビルディングを行っていくことが重要

     それが、これほどまでにスムーズにリモートワークへの移行が進んだ理由といえるでしょう。

     

    リモートワークの仕組みやツールに注目が集まりますが、結局大事なことは組織の中の人と人のつながり同じ方向を向いてそれぞれがささえあいながら進める強いチームをつくることこそがリモートワーク成功のカギになるのでは?

    この記事を書いた人の情報
    奈良有樹
    奈良 有樹

    パフォーマンス・エンハンスメント・
    コーチング認定コーチ
    2happiness代表
    町田コーチングスクール主宰
    プロコーチチーム「レ・アーリ」代表
    コーポレートコーチングチーム
    「FUTICE COACHING」 代表


    社会福祉法人の経理、経営管理として部門別採算制度の導入を主導し、数値の見える化、部門ごとの目標設定サポートなどを通して、1年で赤字2,000万円の事業所を6,000万円の黒字に変える。
    また、社会福祉法人における会計士監査制度導入への対応など、財務、経営管理の分野で豊富な実務経験を持つ。

    他方、コーチとしても就労困難な方の一般就労や社会不安障害の方の社会復帰を実現するなど、過去ではなく未来にフォーカスするコーチングで多くの方の夢の実現をサポートしている。
    コーポレートコーチングの社内での実践経験も豊富で企業研修や、コーチングセミナー、コーチ向けの勉強会など様々な場所で講師としても活躍している。

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