あらゆる仕事にロボットやAIと呼ばれるものが参入してきたとしても、営業活動までをもロボットに任せることはまだまだできません。顧客から契約を勝ち取るためには実際に面と向かってコミュニケーションを図り、信頼関係を構築しなければならないのです。自社の商品やサービスを購入してもらい企業の利益をアップさせるためには、いかに営業マンが頑張るか、これにかかっていると言ってもいいでしょう。
しかし、いくら営業マンが頑張っても、その人に能力がなければ、非効率で意味のない頑張りとなってしまう可能性も出てきます。そうならないよう営業マンを束ねる立場にいる人間が行わなければならないのが、組織に属する営業マンへの教育と育成です。営業マンを教育・育成する上で大事なことはいくつもありますが、やはり一番は「目的」ではないでしょうか。目的の明確になっていない育成など意味がありません。
営業マネジャーであれば、営業マンを育成する目的を確実に理解し、その目的を元にプログラムを組むなどして実践していくことが求められてくるでしょう。
戦略実行と目標達成を目的とした育成を行うこと
営業マンを育成する目的は主に2つありますが、まず最初に意識したいのが、営業戦略を実行し目標を達成することを目的とした育成を行うことです。何のための教育・育成かを考えれば、これはすぐに理解できるのではないでしょうか。何も営業マネジャーが楽をするためではなく、部下への教育や指導によって憂さ晴らしをするためのものでもありません。
全ては、営業戦略を営業マン自らが実行し、それによってあらかじめ掲げた目標を確実に達成することに繋がっていなければならないのです。それを目的としない育成には意味がないと言ってもいいでしょう。
営業マネジャーが勘違いしてしまいがちなのが、週ごとの目標や月ごとの目標など、ごくごく近い目標を達成するために教育や育成を行おうとしてしまう点。これはあまりいい育成のスタイルではありません。そうした目先の考え方ではなく、どんな状況も自ら打開できるような、そんな営業マンを育てることに意識しなければならないのです。
言い換えれば、自社にとって大きな利益をもたらす営業マンはどのようなスキルを持っている必要があるのか、これを念頭に指導・教育していくことが重要であるということなのかもしれません。企業が変われば、あるいは商品やサービス、さらには顧客が変われば営業戦略も変わってくるはず。自社の歴史や慣習、営業スタイルや営業戦略、そして商品やサービス、取引先などに適用できる能力を育てる、営業マネジャーが最も意識すべきこととなるはずです。
人材育成のための戦略は、営業戦略とも似ているのかもしれません。人材育成のための目標は、営業目標と共通する部分があるでしょう。人材育成プランと営業プランの関係性も同様です。営業マネジャーはこれまでの経験を生かしベストな育成スタイルを築き上げ、自社にとって有益な営業マンを作り上げることを意識するようにしてください。それができれば営業戦略と営業目標を実行及び達成できるような営業マンを育て上げることができるのではないでしょうか。
全ての営業マンのスキルを上げることを目的とすること
営業マネジャーがまず最初に整理しておかなければならない部下を育成する目的は、従業員全ての能力を引き上げることにもあります。
マネジャーという立場にある人物が部下を教育・育成する時には、事前に計画した営業活動を遂行できず、あるいは目標を達成できない営業マンのみを対象にすることも多いはず。しかし、それでは組織全体の底上げをするには物足りないと思っておきましょう。成績のあまり良くない営業マンの育成は急務です。ただ、それ以外の、例えば営業成績が良かったり目標をしっかりと達成できたりするような営業マンを放置したままでいいかと言えば、決してそんなことはありません。
優秀な営業マンに対しても、その人に適した育成システムを構築・実践し育てることにより、さらに能力を引き上げる努力を営業マネジャーはする必要があります。優秀な営業マンがさらに優秀な成績を収めるようになってこそ、組織全体の底上げが真に実現すると言ってもいいでしょう。
同じような育成スタイルではあまり意味がないため、必ずそれぞれの営業マンの能力や性格、特性などに見合った育成方法を見出していく必要も出てきます。この点は確かに難しいものの、それが営業マネジャーの頭を悩ませなければならない部分であり、能力が問われる部分になってくるはず。
それぞれの営業マンをしっかりと観察し、行動管理も行いながら、時にコミュニケーションも取りつつ、ベストな育成方法を見出すようにしてください。全ての営業マンのスキルを上げることを目的とすれば、自ずと組織の底力もつき、企業に対して大きな貢献ができるようになるでしょう。