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それぞれのエリアのニーズに応えるためのテリトリー設定を

それぞれのエリアのニーズに応えるためのテリトリー設定を

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営業活動の範囲を限定し、その中で顧客に対してアプローチしていく手法を「テリトリー制」などと表現することがあります。このテリトリー制は営業活動の効率化やコスト削減の効果をもたらしてくれるため、多くの企業に取り入れられているシステムです。

しかし、効率化やコスト削減を最大限有効にするためには、どのようなエリア分けをするのかが重要になってきます。いわゆる「テリトリー設定」ですが、ここではテリトリー制の意義をそれぞれのエリアのニーズに応えるためであると定め、それに伴うテリトリー設定のポイントをいくつか紹介していきます。

ここで紹介することをおさえながらテリトリー設定を見直していけば、より企業にとって多くの利益をもたらす営業活動を行うことができるようになるでしょう。

地域性や顧客の特徴をつかむためのテリトリー設定

テリトリー制を採用し、営業活動の範囲を限定することで、それぞれの地域や顧客のニーズをしっかりとつかむことができるようになります。これは、商品やサービスを売り込む上で非常に重要な戦略となるでしょう。この、地域や顧客のニーズをつかむことが目的なわけですから、テリトリー設定はその目的を達成するためのものでなければなりません。

それぞれのニーズをつかむということは、それぞれの特徴をつかむということでもあります。その地域はどのような特性を持っており、そこに住む人やそこで働く人たちはどのような性格や価値観を持っているのか、その特徴をつかむことが、ベストなテリトリー設定へと繋がるのです。

企業は、その商品やサービスに自信があったとしても、それだけを押し付けてはいけません。また、売り込む相手が異なれば営業手法を変化させるのも大事な戦略ですし、その戦略を無視している企業では成長は見込めないでしょう。独りよがりの営業活動になってしまうからです。

さらに、エリアごとに商品やサービスの内容を変えるということも、このテリトリー設定を適切に行うことでやりやすくなります。商品やサービスに違いを持たせることはコストがかかることでもありますが、それが売り上げに繋がれば十分利益を確保することができるでしょう。テリトリー設定は、このような発展も視野に入れながら、それぞれの地域性や顧客の特徴をつかむことを念頭に見直していく必要があります。

世界を例に挙げるとわかりやすいテリトリー設定の重要性

そこまで地域性や顧客の特徴に違いがあるのか、ここに疑問を持つ人もいるかもしれません。これは世界に視点を移すとわかりやすいのではないでしょうか。

例えば、日本企業が海外で家電などの製品を販売する場合、どうしても韓国や中国などの企業に水をあけられ、そのシェアを奪われる傾向が顕著になってきています。製品そのものの質で見れば日本製の方が圧倒的に上なのですが、なぜこのようなことが起こるのでしょう。

その理由は非常に単純で、日本の企業は自社の製品に強いプライドを持ち、絶対的安定性と安全性を誇っているからです。つまり、それを販売する地域の特性や、そこに住む人々の特徴などは後回しにし、日本人の感覚で家電などの販売をしているので、受け入れられていないと考えることができます。

韓国や中国の企業は違います。海外進出をする時には、必ずそれぞれの地域の特性と人々の特徴をつかみ、そこからニーズを把握し、それに見合った製品を独自に開発し販売していきます。しかも、日本製よりも安いとなれば、それは現地の人は韓国や中国の企業の製品に魅力を感じるのは当たり前。

日本は島国であり、同じ民族、価値観、文化の中で今日まで成長してきました。それは言い換えれば、非常に狭い感覚を身につけてしまったとも言えるでしょう。外の世界に目を向けてみれば、同じ国でも日本ほど共通の価値観で生活をしている国はほとんどありません。
日本国内にいるとそのようなことに気づかず、日本の製品は安全性が高いから、性能がいいから、そうした点だけで売れると勘違いし、それぞれの地域の特性やニーズの把握を疎かにしてしまう傾向があるのです。

商品やサービスを提供するということは、つまりそういうことです。日本国内に目を向けてみても、地域性やそこに住む人たちの特徴は意外と異なります。日本と海外との違いほどではないものの、日本の各地域にもそうした特徴の違いは少なからずあるのです。それをつかむために、あるいは、その特徴ごとに営業戦略を練るために必要なのが、このテリトリー制というわけです。

異なる文化を持つ人たちを同じテリトリーに入れることは、果たして営業活動の効率化に繋がるのかどうかを考える必要があるでしょう。文化だけではありません、地理的な特徴や性格、生活環境なども分析しながら、最も効率のいい営業活動が行えるテリトリー設定が必要不可欠なのです。

テリトリー設定に必要な条件や対象とは

テリトリー設定を行うためには、あらゆる情報を集め、それを分析しなければいけません。同じ性質を持った人たちが集まる場所をテリトリーとして設定した方が、営業効率もアップするでしょう。

シンプルに考えてみてください。肉料理が好きな人が集まるエリアと魚料理が好きな人が集まるエリアが隣接していた場合、それらをひとまとめのテリトリーに設定してしまうと、肉そのものや肉料理を作るのに最適な調理器具、肉料理が好きな人のためのお酒などの商品を販売している企業は、非常に効率の悪い営業活動を行うことになってしまいます。
このケースでは、そのような商品を販売している企業は、肉料理が好きな人が集まるエリアをテリトリーとして定め、そこに集中して営業活動を行なった方がいいはずです。

このように、同じ性質を持った人たちが多ければ多いほど営業活動の効率はアップするため、そうした情報を集め、適切なテリトリー設定を行う必要があるのです。

まず、取り扱う商品が消費財なのか、それとも生産財なのかによって変わってくるでしょう。つまり、住宅地なのか、それとも工場などが集まるエリアなのか、これによってテリトリーを分けるができます。さらに、消費財の場合には、自然条件や行政区画などの地理的条件、人口の数や年齢層、家族世帯なのかどうかなどの人口統計的条件、所得や職業などの社会経済的条件、さらには、革新思考なのか保守思考なのかなどのライフスタイルによって、そこに住む人たちをカテゴライズし、それを元にテリトリー設定を行なっていきます。

生産財の場合には、事業所や工場の数、従業員の数、業種などの産業構造、商品ごとのユーザーの数や、まだユーザーではないけれども潜在的なニーズの数などの使用・購買実態、そして、商品や製品を購入する時の慣行や基準といった購買実態、こうしたものにフォーカスしながらテリトリー設定を行なっていきます。

このように、テリトリー設定に必要な条件や対象にはさまざまなものがあるため、すぐにスッキリと分割できるとは限らないでしょう。しかし、できるだけ多くの条件や対象を分析することでしか、ベストなテリトリーは見えてきません。丁寧に分析し、営業活動の効率が最も図れるテリトリー設定を目指すことを心がけてください。

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営業マネジメント

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