アポイントを取ることがなぜ営業の成果に直結するのか
今日のテーマは「アポイント」です。
決めたタイトルは何かと言うと、営業のプロはどうやって優良見込み客と出会い、アポイントを取っているか、というテーマですね。今日のテーマの1つ目、アポイントを効果的に取る術を身に付けると何故強いのか?という話をしていこうと思います。更にその中で、今日は、アポイントを取ることがなぜ営業の成果と直結するのかということをテーマにお話をしていこうと思います。
まず、アポイントということを語る前に、営業活動に関して。これは大きくは2つに分けられます。
まず1つは「ルートセールス」というものです。
もう1つが「新規開拓型の営業」というものです。
このルートセールス、説明する必要もないかと思いますが、一応説明しますと、BtoBのビジネスとも言いますが、決まりきった相手を、ルートをこなすようにして決まりきった相手を訪問するというスタイルです。それに対し新規開拓は基本的に次から次に新しいところを開拓していくということになります。
実は、世の中の殆どの事業会社――この場合BtoBの会社は、殆どがルートセールスです。私のような生命保険業界、これは典型的な新規開拓型の営業です。特に、私が23年間――今もそうなのですが――居る、生命保険業界というのは、もうとにかく次から次へ新規開拓です。そうなると、アポイントを取るということが成果の8割に直結する、もうそれ以上かもしれない、というように言えるわけです。従って時間とエネルギーの内およそ8割はアポイントを取るということに投入していくのが、新規開拓型営業の普通の姿です。
それで営業の成果の話ですが、営業の成果というのは、このような掛け算で表現できます。
この3つの変数、この掛け算でもって営業の成果というものは表現できるわけです。
これがポイントなのですが、3つの変数の内、アポの数というのが実は一番才能を必要としないものになります。もしもあなたが私と同じように、特別格段の才能を持っていない凡人だとすると、従ってアポの数から入るのが一番重要になってくるわけです。
成約率というのは、まさに才能のスキルと直結するわけです。当たり前ですよね。言わば打率のようなものです。それと契約単価、これも才能が必要ですし、スキルも必要です。何故かと言うと、どのようなお客さんと付き合うか、どのような高い価値を持って行けるか、まさにこれはスキルの世界ですよね。ですからこの2つは高い技術、スキルが無いと中々上げられません。ところがアポイントの数というのは、或る手順に沿って行えば、決して難しくない話なのです。ですから相対的に――簡単とは言えませんが――この3つの中で言うと一番、あなたが凡人であっても数を確保しやすい数字ということが言えるわけです。
特に私の場合、アポイントの数にはこだわり抜いていました。昔、生命保険をフルタイムで全力でやっていた頃というのは、週15面談ということにこだわり抜いていました。週15面談。1週間の1日だけを予備日として、あとの4日間を4×4=16コマに分けて、この内15面談は必ず入れるというようなやり方をしていました。入れた後はあまり考えません。何故かと言うと決まりきったセールスステップに――言わばベルトコンベアに乗せるようなものですから。とにかく翌週のアポイントを入れることに集中する、これがその週の最も重要な仕事というのが僕の捉え方でした。
これは元々、イギリス人で有名な生命保険業界のカリスマであるトニー・ゴードンでしたり、恐らくトニー・ゴードンはきっとフランク・ベドガーの本を読んでインスパイアされたのだと思いますが、こういった人たちがずっと実践し続けていた方法を僕が取り込んで自分の方法として行いました。
アポイントを取る上で一番重要なのは、一定期間、一定数を取り続けるということです。つまり気持ちややる気等に左右されずにコツコツと一定期間、一定数を取り続けるということが大事なのです。この最低ラインを守るということが大事でして、これがもし気持ちに左右されますと、一年を通してみると絶対に一定数を続ける人よりもアポイントが少なくなっています。不思議なもので、このアポイントの数と成果は直結します。
私は生命保険の現役時代に、アポイントの数を色々な人に会うたびに聞いていました。それで、週15面談をクリアしている人で、年収で言ってMDRTに達していない人にはまず会った事はなかったです。MDRTに行くと、概ね年収で言うと安くて2,000万、少なくとも2千数百万はあるという感じで、十分な年収ですよね。ですからこのアポイントの数と成果は直結します。それで、このアポイントの一定数を獲得したら、然る後に単価を上げていくという努力をすべきです。つまり、まず数を獲得すると。然る後に、質を上げていくというのが、凡人にとっての成功法則なのです。
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たった1つのアポで人生を変えた有名人
次に、たった一つのアポイントメントによって人生を変えた有名人、というテーマでお話をしていきます。アポイントメントで人生を変えた有名人というと、真っ先に僕の頭に思い浮かぶのはナポレオン・ヒルとアンドリュー・カーネギーの逸話です。アンドリュー・カーネギーはご存知かと思いますが、アメリカにかつて居た大富豪です。スコットランドの貧しい家に生まれて、鉄道会社の使い走りのメッセンジャーボーイからスタートして、アメリカに行って、最終的にはUSスチールを始めとした鉄鋼業でもって大成功して、自分の莫大な財産を慈善事業に注ぎ込んだことでも有名です。そういう意味で今でも尊敬されている人たちです。あの有名なニューヨークのカーネギーホールは彼の寄付によって出来上がったわけです。
それで、逸話というのはこのような話です。
当時ナポレオン・ヒル――自己啓発の業界で非常に有名な方です。今でも教材はあるし、僕も大分お世話になりました(笑)――そんな若き日の、25歳のナポレオン・ヒル、彼は非常に貧しい青年でした。それで、大富豪になったアンドリュー・カーネギーと知り合うことによって、彼の自宅に泊めて貰って、三日三晩、彼の成功の話をずっと聞いたわけです。彼、ナポレオン・ヒルは一生懸命メモを取ります。そして最後の日、アンドリュー・カーネギーはナポレオン・ヒルにこのように言いました。
タダ働きしろ、ということですね。これに関してナポレオン・ヒルは考えます。
と答えたのが――ストップウォッチで測ったのかどうかは知りませんが(笑)、29秒です。29秒で、この人生最大の決断をしたということです。その後、ナポレオン・ヒルは自己啓発の業界、出版業界で大成功をするのですが、その成功の礎はこの29秒にあった、というような話です。この話、実はアンドリュー・カーネギー側の記録にはあまり出てこないので、本当にあった話かどうかは疑わしいと一部では言われていますが、それは別に本質ではないと思います。
何が言いたいのかといいますと、たった一つの出会いによって人生が変わるなどということは幾らでもあるということです。それに関しては、日本でいうと織田信長と若き日の藤吉郎の出会いもそうかもしれませんし、あるいは三國志の劉備玄徳と関羽と張飛の三人の桃園の誓いというのもありますし、要するに人生の殆どは人と会うことで決まっているわけです。人と会うことでもって変わってくるわけです。殆どの場合は。ということは、「アポイントメント」ということです。
恥ずかしながら私も――有名人というわけではないのですが(笑)――そのような経験がありまして、20数年前のたった一つのアポイントが人生を変えたという経験がありました。これは本に書いていますので読んで頂いても良いと思うのですが。当時本当に僕は売れなくて非常に、ヒーヒー言っていた頃がありまして、ある時、ある会社の創業記念パーティーに潜り込みまして、パチパチと写真を撮っていました。当時は今のように誰もがスマホで撮って保存できるなどという時代ではなくて、一応写真にプリントしないといけない時代だったわけです。ギリギリその辺でした。写真を撮って名刺交換をして、「じゃあ僕にその写真をお届けさせてください」というようなことでもってアポイントを取って、あわよくば保険の提案をしちゃえ、というようなことをやっていたわけです。
誠にプリミティブな作戦なのですが、その時に、旧知の人と会ったわけです。全くの初対面ではなくて、かつて知っていた。それで名刺交換をするとその人が、ある会社の社長さんになっていました。「おっ」と思いまして、アポイントを取りました。そのアポイントも簡単ではなくて、写真を撮って、プリントしてお届けしますと言って、丁度10人に電話しますと、そのうち9人は「いやいいですよ。そんなの。大丈夫です。要りません」というような感じで、警戒されたのかもしれませんが、あるいは不在だったりして、取れませんでした。取れたのは唯一その社長だけだったわけです。その社長のところにお伺いしました。話をしました。それで、非常に心の揺れがありましたけれども、最後に切り出して、「良かったらちょっと保険の話を、別日でもいいんですけど聞いてくれませんか?」と思い切って言いました。当時の僕でいうと思いきった話でした。そうしたら、向こう側としては豈図らんや、「いいよ」と言ってくれまして、「じゃあお願いします!」と言って、アポイントを取って保険の話をして。結論から言うとそれがその後の僕の人生最大規模の契約の一つに繋がりました。
――というわけです。
以上、アポイントメントによって人生が変わった人たちのお話を、僕も含めてお話をしました。
ということは往々にしてあります。というわけでこの話が少しでも、アポイントメントを取るというあなたのパッションの一助になれば僕としては嬉しいです。
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営業のプロはどうやって優良見込み客と出会いアポを取るのか
「営業のプロはどうやって優良見込み客と出会いアポを取っているのか」ということも重要なテーマの1つです。次にお伝えすることは、効果的なアポイントの取り方の1つ、「可視化する」ということをお伝えします。
「え?そんなこと?」と思うかもしれませんが、これって実はとてもラッキーなことで、殆どの人は可視化するというステップを飛ばしてしまいます。「アポを取れさえすればいいんだろ?」と思って頭の中で考えて、何もこの可視化するというステップをやりません。スルーするんです。これって凄いラッキーポイントで、殆どの人がスルーするので、従ってこの非常に効果のあるこの方法をやるだけで、あなたは上位20%に行けるわけです。これがラッキーと言わずして何ですか、という話なんですね。
とはいえまだ納得できないあなたは、僕のこの話を聞いて下さい。今から20年位前の話です。僕が尊敬していた業界のある先輩がいらっしゃいました。その人はとても仕事が出来て、成果――具体的にはTOTなどを毎年取るような方なのですが、一人で行動されて、成果を上げるだけではなくて、MDRT――私も理事をやっていましたが――そういった業界団体でも一生懸命役職をします。当然無給です。それでも一生懸命役職をするというような、そういうところも尊敬できる人です。仕事も出来るし、性格も良いと。業界を尊敬するという姿勢も尊敬できる、というわけで、非常に僕はリスペクトした先輩でした。
その先輩は、北関東のある都市をベースにしていました。それでその先輩は、北関東でまず仕事をするにあたって何をしたかというと、この人をお客に出来たらいいな、と。この人がお客になってくれたら、顔も広いし影響力もあるのでどんどん自分のビジネスも広がっていく、良い方向に転がっていくだろうなという、いわゆる地方の名士を20人ピックアップしてリスト化したわけです。そしてそれを机の上に貼り、毎日眺めるということをやりました。その結果どうなったかというと、ほぼ想像が付くと思いますが、1人2人、そのお客さんが増えていったわけです。更にどんどん増えていって、僕がその話を聞いた時点ではそのリストの過半数がお客さんになっていたという状態でした。それからもう随分経ちましたので、もう100%になったかもしれません。あるいは別のリストを作って同じようにやったかもしれません。――ということです。一言で言うと、可視化するということは、効果的だということです。具体的にどのような事をやるのかということを、少し今からお話をしていきます。
まずは、リストを作るということです。例えば今僕が例に挙げた先輩のように、お客さんにしたい人を、具体的な名前をピックアップしてリストを作る、これがベーシックな話です。僕はこれをやっていました。時間があるときはエクセル化してリストを作っても良いですし、名刺をよくあるコピーマシンにダーッと置いて、名刺のコピーを作ってそれを持ち歩く、これでもOKです。このようなことをしていました。
効果的なアポの取り方4つステップ
効果的なアポイントの取り方4ステップとして、正にアポイントを取るために具体的にプロはどのようにやるかという話を1つ1つしていこうと思います。
リストを作るということが何故これほど効果があるのか。全く面識もなかったのに、そこから一筋二筋三筋と縁が深まっていって、或いはチャンスが見えてきて、行動できてしまう訳ですが、それは何故か。
これ実は脳科学、心理的にも証明されていまして、「RAS」、ラスと言いますが、こういう機能があります。これは日本語で言うと「網様体賦活系」と言うそうです。まあその理屈の方は置いといて、どういうことかと言うと、例えば脳の機能というのは、脳が重要でないと判断した機能を僕らから遮断するという機能があるわけです。
例えばこのような経験はありませんか?新車を買おうと思った、と。例えばBMWを買おうと思った。そうするとその瞬間に、その日から、街中に「え?BMWこんな走ってるの?」と思うようになった。もう街中にいっぱい見るたびに目に付くわけです。どんどん飛び込んでくるわけです。「えっ?」とビックリするんですけれども、ところが、当たり前ですが前の日までBMWは同じように走っていたわけです。ただ当人が気付かなかっただけです。重要ではないと思うので脳が遮断して見えなかっただけの話なのです。
それと、僕個人の経験ですが、このようなことをしたこともあります。家内が妊娠して、妊婦さんになりました。そうするとその時から、「え!街中に妊婦さんってこんなにいっぱいいるんだ?」とビックリしたという経験があります。これも同じですよね。妊婦さんは以前も、その時も、それ以降も同じだけ居るわけです。ところが僕の方が気付かなかった、情報を拾ってこなかったわけです。何故かというと、脳が遮断したからですね。これがRAS、網様体賦活系の機能です。
つまり、重要ではないと思う情報は遮断されてしまうわけです。「可視化する」という行動は、その能力を逆手に取ったわけですね。これは重要である、というように脳に認識させることが出来れば、それに関連する情報、例えば「あの人ひょっとして紹介してくれるかもしれない」「仲立ちしてくれるかもしれないな」とか、「あ、この人とこの人を繋いだらメチャメチャ喜んでもらえるかもしれないな」とか、或いは「この場所に行ったら会えるかもしれないな」とか、或いは「この情報はこの人すごく喜んでくれるから、何かキッカケさえ作れば凄く強く関係性作れるかもしれないな」とか、色々な情報が、アイデアが浮かび出てきます。これは可視化しないと出てこないです。可視化しないと、脳にこれは重要だというメッセージを具体的に伝えることが出来ないからです。これは可視化したからこそ出来ることですね。
例えばウチの会社は――僕は当時これをやっていましたし、今でもやっています。例えばお客さんの像を明確にするということですね。具体的なリストを作ることが出来なければ、お客さんの像を明確にする、これでもOKです。例えばウチの会社で言うと、メインの出版事業の一番お客さんにしたいお客さんはこのような人です。事業オーナーであり、或いは個人事業主であると。非常に優秀で勤勉、前向きです、と。性格も良いと。事業のボリュームとしては1億円前後、或いはそれ未満という金額で、これから伸びていこう、でも伸び方が分からない、というお客さん。その人が僕らのお客さんです。それで、ペルソナというのですが、具体的にはこの人、という個人名まで決めています。それをグループの中で共有しています。
或いは今千葉県の佐倉の方でグループホーム事業を展開していますけれども、ここでのキーポイントは何かと言うと、スタッフさんの採用ということです。今結構人手不足であちこち採用難しいですよね。優秀で前向きなスタッフさんを確保するというのが非常に重要になります。ですから、ここでも明確化するわけです。千葉県佐倉のウチのグループホーム――3つあるのですが――から、約20分以内で通勤出来て、女性の方が何かと色々都合が良いので出来れば女性で、且つ前向きで、性格が良いという人たち、なわけですね。というようにここまでハッキリすると、「じゃあここに行ったらいいんじゃないの?」「この人だったらそういう人たち知ってるんじゃないの?」「仲立ちになってくれるんじゃないの?」「紹介してくれるんじゃないの?」というアイデアが具体的に浮かび出してアクションに繋がりやすいのです。
まずリストを作ります。リストを作るのが事情があって出来なければ、その具体的な属性というものを明確化して原稿化します。そしてこれを毎日見ます。或いはパソコンでも良いです。僕の場合は持ち歩いていました。まあ個人情報の色々があるのでそれに抵触しない形でもって、作って、持ち歩きをしていました。これが非常に効果があります。定期的に見るというのが、コツです。
この項目では、効果的なアポイントの取り方4ステップのNo.1、「可視化する」という話をしてきました。この話があなたの役に立てば本当に嬉しいです。
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