日本一の「働き甲斐のある会社」を創った経営者に聴く、そこに至る経緯とその手法

2014年に「会計事務所甲子園」という全国の会計事務所が集まる大きなイベントが開催されました。このイベントにおいて、日本一で優勝した会計事務所が「トリプルグッド税理士法人」です。更に同じ年に、「働き甲斐のある会社」ランキングというのが発表され、ここでも社員規模100人以下の部で日本一を達成しています。ちなみに100人以上の部では、グーグル或いはマイクロソフトといった世界企業が獲っていますが、そのような中で堂々と第1位を獲得したわけです。

ところがこの会計事務所は、創業当初からこのような活気溢れる職場では無かったようです。創業した10年以上前は、7名程の社員が在籍したようですが、離職率が100%という大変な状況だったようです。つまり同じ1年の間に、入ってきた社員が全員退職するということです。そこで、経営者である実島先生は、この苦境から脱却するために、「あるもの」を導入することにしました。その結果、この「あるもの」の効果により、社風が大きく変わり、組織も成長を続け「トリプルグッド税理士法人」を筆頭に6法人を数え、今ではグループ全体で社員数120名までに躍進を遂げました。

この「あるもの」をどのような経緯で導入し、どのように活用して効果を上げたかを詳しくご紹介します。現在、社内に活気がない、士気が上がらい、売り上げが伸びない等々で悩んでいる経営者の皆さんには、大変参考になる事例だと思います。

実島氏プロフィール

実島 誠(みしままこと)
トリプルグッド税理士法人・代表社員
一般社団法人日本クレド経営協会・代表理事
一般社団法人士業ITアドバイザー協会・代表理事

監査法人トーマツ、デロイト・トウシュ・トーマツ税務事務所等の勤務を経て、
1997年10月、顧客ゼロ売上ゼロから税理士事務所を創業。
2014年2月、Great Place To Work(R)Institute社が主催する「『働きがいのある会社』ランキング」、
従業員99名以下の企業部門で、日本第1位となる。
2014年2月、一般社団法人会計事務所甲子園が主催する、「第1回会計事務所甲子園」決勝大会で日本一の会計事務所となる。
2015年7月7日「一枚の『クレド』が組織を変える!」を出版。

税理士になる経緯

実島先生は、大阪の大学に入られ経済学部に籍を置いたようです。しかしながら、1、2年生の時は、バイトに専念した生活が続き、ほとんど勉強はしなかったようです。3年生になった頃から勉学へのスイッチが入り、授業そのものが面白く感じるようになりました。
中でも「実践簿記」という科目に興味が沸き、授業の際には最前列で熱心に授業を聴いて
いたようです。この熱心さが「実践簿記」の先生の目に留まり、「税理士という資格があるよ。受けてみたら?」と声をかけられ、これが税理士を目指すきっかけになったようです。

それまでに「税理士」という資格は、聞いたことはあったようですが、何をする資格か
すら解っていなかったようです。そこで、実島先生は「税理士」について、色々と調べました。当時、アメリカの8大会計事務所を扱った本が出ており、世界の経済・経営を陰で支えているのが8大会計事務所だというドキュメンタリーの話でした。その中のエピソードの
ひとつとして、アカデミー賞の授賞式がありました。アカデミー賞の選考委員から票を集め集計し、誰がどの映画で賞を獲るのかを決める作業に、当時の8大会計事務所が関わっていたという話でした。現在でも関わっているようです。ミーハーなところがあった実島先生は、このようなところにも憧れがあり「この道に行きたい」という気持ちが強くなり「税理士」の勉強に一段と熱が入っていきました。

就職から独立当初

大学卒業後は、直ぐにこの業界に入り小規模の会計事務所に2年在籍しました。その後、大規模な会計事務所である監査法人トーマツに移り、ここで独立するまでの9年間その辣腕を振るいました。

監査法人トーマツへの入社動機は「国際的な会計事務所で働きたい」ということだったようです。ところが、実際に働いているうちに気持ちの変化が起こり「もっと経営の支援ができる会計事務所をつくりたい」という思いが強くなり、これを実現するために1997年9月に監査法人トーマツを退社し、10月1日に独立開業したのです。

開業はしたものの、電気も電話も通ってなく家具も一切ないワンルームマンションの事務所だったので、少なくとも4ヶ月は自宅に電話を転送して寝ていたようです。通常は、開業前に見込み客を作る等の準備はするものですが、この準備をせずに先に事務所を立ち上げたわけです。当時の実島先生は、仕事に対して自信過剰気味であり、独立すると色々なところから声がかかり、顧問料等の収入も増えると見込んでいたようです。その考えが甘かったようです。しかし、苦しみながらも少しずつ仕事を増やし2年間は一人で頑張りました。

3年以上の間、最悪の職場環境が継続

3年後には5~6名の社員を抱えるまでになっていました。当時の社内体制は、外回りの営業活動は、昼間に全て実島先生がひとりでこなし、暗くなった頃に帰社するという状態でした。実島先生の想いとしては、早期に顧客を増やし事業を拡大したいということがあったからです。当時の社員の方々には記帳や書類の作成をすべてやってもらっていたようです。

社員の方々は、このような仕事の経験がない方ばかりだったので、実島先生としては、本来は、仕事に関する技術や知識を指導し、その中で実島先生の想いを伝えたかったようです。しかしながら、実際には、その指導する時間が取れず、社員の方々へは実島先生の想いが伝わらなかったようです。

その結果、実島先生は、社員の方々の仕事の結果に対して満足することができないので、彼らには大変申し訳ないという気持ちを持ちつつ、ついつい厳しい事を言ったり、怒ったりすることが頻繁にあったようです。このようなコミュニケーション不足の職場環境なので、社員は入っても辞め、入っても辞めの繰り返しが続いたようです。

このような環境が3年以上続く中で、様々な負の連鎖が起きたようです。社員が会社の「悪口」「愚痴」を陰で言い出し、それが実島先生に入ってきたようです。社内ミーティングにおいても、仮面を被ったような発言ばかりで、本音は全く出ない状態でした。更に、入ってくる社員への引継ぎは、辞める社員が引き継ぐのですが、余計なことを引き継いでしまうので1週間後には、辞めていったようです。

経営者である実島先生としては、「顧客に対しては、プロ意識を持ちつつ高品質なサービスを提供しないといけない」という想いがあったようですが、社員にもそれを求めたわけですが、その想いがコミュニケーション不足の職場では、上手く伝わらなかったようです。
その結果、実島先生は精神的にもかなり落ち込んでいたようです。

クレドとの出会い

今から15年ほど前に大阪にリッツカールトンというホテルが開業しました。このホテルは、理念・信念を「クレド」として社員が共有することでホスピタリティーの効果が上がっているということで話題になっていました。「私達は、紳士淑女に仕える紳士淑女である」という一節が有名になりました。そんな中、実島先生は、このリッツカールトン大阪の当時の支店長である高野登氏の「クレドに関わるセミナー」を聴き、非常に感銘を受けたのです。これが、実島先生のクレドとの出会いであり、当時は、「もう、これしかない」と強く思ったそうです。

ここから実島先生のクレドの作成が始まりました。基本はリッツカールトンのものを叩き台にして、自分たちの仕事に置き換えながら作ったそうです。クレドは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3つの要素から構成されています。

クレドは誰が作るのか?

私は、クレドは経営者が作るものと思っていました。しかし、実島先生にお伺いすると、そうではなく、社員が主体となって作ることが基本であり、これが一番重要な点のようです。何故なら、クレドを作る目的は、社員の間にクレドの効果を浸透させることにあるからです。但し、社員のみで作ると、経営者が考えるミッションとは全くかけ離れたものが出来てしまう可能性もあります。

そこで、これを防ぐために、作成途上において経営者との間で、摺り合わせ作業を行なうのです。「これは、こうじゃないか」「なるほど、そうですね、もう少し考えてみます」という具合に、経営者と社員の間で納得のいくまで議論を重ね、より良いクレドを作り上げていくのです。このクレドを作っていくプロセスも「浸透」の重要な要素です。

クレドの作り方、クレドの構成とは?

◎ミッション
3つの要素の中で、最も重要なのが「ミッション(使命)」です。「何のために仕事をしているのか」もっと言えば、「私は何のためにこの業界でこの仕事を選んで、この仕事をしているか」ということを言葉で、1~2行で書きます。

更に最近では、このミッションをマーケティングでも使われているようです。ミッションの構成要素でもある「共通の利益」英語言うとShared Valueという言い方をしています。
「お客様にとっても良くて、会社にとっても良くて、その会社の社員にとっても良くて、地域社会にとっても良くなるような事業を展開することを使命としています」と、お客様や取引先の方々、協業される方々に対して「共通の利益」をアッピールするわけです。

◎ビジョン
ビジョンは、目的ではなく「目標」です。更に、3年くらいまでに「ミッション(使命)」を達成できるような目標をビジョンと言います。つまり、「目標」よりも先にあるのが「ミッション(使命)」なのです。このビジョンも非常に重要であり、ビジョンが無くミッションだけになってしまうと、ボランティアになってしまいます。これでは、営利企業の「利益を上げる」という重要な機能が欠けてしまい企業として成立できません。このビジョンの具体的なものとしては、売上高、営業利益、会社規模、顧客数など短い数値目標が挙げられます。

◎バリュー
社員で話し合って決めた「ミッション」「ビジョン」を達成するには、簡単ではないはずです。達成するまでの過程においては、苦しい事、辛いことも沢山あるはずです。それらを乗り切るには、社員の間、つまり組織共通の価値観、或いは行動基準を持つ必要があります。これがバリューです。

例えば、「挨拶の重要性」をバリューとして設定する場合、「挨拶は大事だ」という価値観と、「挨拶は大事だが、でもこの仕事には関係ないよ」という価値観もあります。この両者の共通の価値観である「挨拶は大事」を取って、「挨拶は大事、いつも笑顔で挨拶します」というバリューを設定したとします。そうすると、いかなる場面においても「あ、それが大事、挨拶が大事だな」「挨拶するかしないかで、自分達に取って、お客様に取って、会社に取って、どっちが良いのか?」という考え方になるのです。その結果、「やはり挨拶する方が大事だ」となっていき、これが、組織共通の真の価値観になるのです。

このようなバリューは、複数の項目を設定することになりますが、適度な数としては、10~15項目です。あまり多くなると、運用が出来なくなりクレドの浸透が難しくなります。

浸透するまでの過程

最初のクレドは、実島先生がご自分で作ってスタートしたようです。でも、社員には徐々に浸透していきました。浸透のポイントは、「ミッション」にあったようです。前述したようにミッションは、「お客様、社員、経営者共通の利益」ですから、実島先生は、それを力説したようです。それによって、「そうか、これが出来たら、お客様にも喜んでもらえ、自分達社員も良くなって、会社に取っても良い事なんだ」と社員達が気付き始めたのです。

経営者が「こうしなさい、ああしなさい」と命令すると、「お金で雇われているから、あれもしろ、これもしろって言われている」と社員達は受け止め、反発することもあります。ところが、「何のために仕事をしてるのか」というミッションを掲げることで、この仕事をすることで、お客様も、俺達も、会社も良くなると考えるようになるのです。

プロ野球の世界にも「共通の利益」が存在します。優勝すれば選手も良いし、球団も良いし、ファンも良いし、地域社会も良いということになります。経営者から何のミッションも示さず「こうしなさい、ああしなさい」と、一方的に言われると、「そりゃ、会社は良いかもしれないけど、俺達は関係ねえよ」となります。しかし、ちゃんとしたミッションを示すことで社員達は、ミッションを実践する中で「あ、俺達にもそれは確かに良いよな」「すごく良いと思う」ということを体感し、クレドの浸透が深まっていくのです。

浸透させる手段

クレドを作成しただけでは、浸透しません。浸透させるには、それ相応の手段が必要です。実島先生が取った手段のひとつが、朝礼です。毎日の朝礼において、予め順番を決めておいた社員が、クレドに従った行動の結果報告を行ない、実島先生も含めた社員全員が、10分程度の時間内に情報共有をするわけです。クレドを使って上手くいったことと、上手くいかなかったことを発表するのです。特にそれを自分視点だけじゃなくて、お客様に取って、自分達にとって、会社にとって、地域社会にとって良い事なのか悪い事なのか、軸を替えながら評価していくのです。

例えば、「昨日お客様にお会いして、このようなことを言われました。このようなリクエストをいただきました。私はこのように行動をしました。」とその日の発表当番の社員が報告すると、それを聴いた別の社員が「その結果、どう思いましたか?」となり、クレドを基にした議論と共有が出来るようになり、実島先生は、徐々に、クレド浸透の実感を味わったのです。

浸透の効果

実島先生は、朝礼以外にもクレドを浸透させる様々な工夫をしました。それは、それまで外回りの仕事一辺倒だった実島先生は、社員と接する時間を捻出したのです。この時間の中で、クレドの研修をしたり、それまで出来なかった技術指導も行ないました。

しかしながら、クレド導入当初は大変だったようです。多くの社員は、やはり最初は自分視点で物事を考えたようです。自分にとって得か損か、この会社は給料を沢山くれるかくれないか、労働時間が長いか短いか、優しく仕事を教えてくれるか教えてくれないか等々、自分にとって良いかどうかで、全てのことを判断してしまうのです。これは、人間は皆、自分の利益のために生きていると考えれば、ある意味仕方ないことかもしれないようです。

一方で、お客様の利益を実現したり、会社の利益に貢献しないと自分の利益には繋がらないという「ビジネスの鉄則」が存在します。でも彼らが、それを理解するには時間が必要だったようです。

苦しい想いをしながらも、実島先生は、朝礼と研修を根気強く続けました。その結果、半年後には、浸透の効果が現れ始めました。職場の活性化が始まっていたのです。会計事務所の仕事というのは、税金や会計に関わる法律に基づいて作業を行なうことです。従って、法律を仕事の基本に置いて、「税法上はこうすべきだ」という社員が多く存在したようです。しかし、この状況が変わったのです。「自分達がやったこと、やらないことがお客様にどのように影響するか」と考えるようになっていました。更に、「あ、これはお客様に取って良いのかな」「これお客様は、嫌がるんじゃないか」という言葉が、自然に飛び交うようになっていたのです。彼らが、お客様視点で仕事をするようになったという証拠です。

経営者にも浸透?

このクレド導入によって、社員は変わり、職場は活性化していきました。それと同時に経営者である実島先生も変わったそうです。むしろ経営者が変わらないことには社員は変わらいと、実島先生は仰っています。

クレドを実践していく中で、経営者自体が、「これが正しい道だ。これが自分の利益ではなくて、お客様の利益であって、社員のためでもあって、自分にとっても良いことだ」という考え方に変わっていくのです。クレドの文面に記載されていることは、「俺は安全地帯にいるから、でもお前らはやれ」では、だめであり、経営者が私利私欲を捨て、率先垂範することがクレド導入において、最も重要なことなのです。

働き甲斐がある会社を目指して

働き甲斐とは、仕事に対して達成感を感じる事ことです。「頑張ってやってきて良かった」「目標を達成できた良かった」「ああ、やっぱりやって良かったな」と感じることです。「働き易さ」と勘違いされる人がいますが、これは、「給料が良い」「勤務時間が短い」という働く「条件」であり、「条件」が良いから働き甲斐があるとは限りません。

「長い間仕事をして、やる気も無くただ喰うためだけに働くという社員は、辛いはずである。そのような社員に対応されるお客様も辛いし、会社にとっても、周りの社員にとっても良くないことである。従って、社員には遣り甲斐を持って働いて欲しい」と実島先生は以前から考えていたようです。

この考えから「働き甲斐がある会社」を目指して6~7年前から様々な対策に取り組んでこられたようです。その取り組みのひとつが「クレド」の導入です。これらの取組内容を数百ページのレポートとして「働き甲斐のある会社」ランキングの審査機関に提出したのです。5年前が最初でしたが、9位に入ったのです。

この時には、クレド効果により、職場内は既に活性化された状態になっていたので、社員自らがこの「働き甲斐のある会社」ランキングへ挑戦しようという機運が高まっていったのです。この勢いがそのまま継続し、2014年は、「働き甲斐のある会社」部門別ランキングで1位となったのです。更に、「会計事務所甲子園」については、実島先生は全くタッチせず、社員達がエントリーして、色々と準備して登壇し、見事に優勝したのです。これには、実島先生は大変感動されたようです。

働き甲斐がある会社を創るポイント、秘訣とは?

経営者は、誰でも自分が創った会社に対しては「いい会社だな。働き甲斐がある会社だな」と言われたいはずです。それを実現には、経営者は何をすればよいのでしょうか。それは経営者自身の価値観を変えることであると、実島先生は説いています。

経営者が、自分が儲けたいがためにだけ会社を経営していると、社員に完全にバレてしまうようです。経営者ですから、お金を儲けるというのもないとだめです。しかし、自分のためだけに仕事をしようとする姿勢、社員やお客様のことを考えていない仕事をすると、バレてしまうのです。経営者は、自分・社員・お客様三者への力点の割合を考える必要があります。それを整理する、或いは見つめ直す機会をクレドが与えてくれるのです。

今後の展望

実島先生に、今一番関心があることについて尋ねました。そうすると「クラウド」という答えが返ってきました。「クラウド」とは、銀行の取引明細、クレジットカード、電子マネー等のシステムを全部取り込んで、記帳が自動的に出来てしまうというテクノロジーのことです。しかし、税理士の先生方、或いは会計事務所は、ここで言うところの記帳を代行することでビジネスが成り立っているわけであり、「クラウド」は、ある意味諸刃の剣だと言えます。もっと言えば、「劇薬」かもしれません。

でも、実島先生は、そうは考えないのです。「クラウド」を「劇薬」とは捉えずに、これを取り入れて経営を良くしようと考えているのです。実島先生がやりたいことは、記帳代行ではなく、お客様の会社の経営支援なのです。

その経営支援の中で、「クラウド」を組み込む提案を行ない、その会社の生産性向上に繋げたいということです。実島先生によると、今後は、「クラウド」を企業のビジネスモデルに組み込んでくる時代になるそうです。

実際の導入予測事例を紹介します。飲食店の予約ポータルサイトからパソコン、或いはスマホで食事の予約がボタンひとつで出来ます。この予約情報は、お店側に即座に届きテーブルの位置まで確定します。

お店に出向くと、事前に確定したテーブルまで案内され、スマホでビール4本と注文すると、そのデータが厨房まで届き厨房のプリンタに出力され、ビールが運ばれてきます。会計時には、スマホに支払い額が表示されます。アプリにクレジットカードが登録がされていれば、スマホで決済まで出来ます。

更に、お店側には「いつ、誰が、何人で、何を注文したか」の来店情報が残りますのでポイントの付与、「また来てください。キャンペーンやってます」等の販促メールを送ることも出来ます。このように、飲食店の予約ポータルサイトと飲食店がクラウドを通して繋がることで、顧客管理、会計・決済処理、販促活動が自動的に出来るわけです。

今後も、このように「クラウド」を通して様々なシスステムが繋がることで、会計や税務を飛び越して、「クラウド」は、経営そのものを支援するツールとして位置づけることができます。更に「クラウド」は、進化し続け、クリニック・介護事業・飲食・美容等々あらゆる業種に入り込み、それらの事業のステータスを上げることに貢献するはずです。

実島先生は、今後も「クラウド」の進化・発展には注視していくそうです。

まとめ

実島先生にお話しをいただくきっかけになったのは、実島先生の著書である「1枚の『クレド』が組織を変える!」との出会いでした。私自身も会社の経営者であり、今の会社を率いてきて、そろそろどういうふうに着地させようかと考えている中、この本と出会い、大変感動し、大いに共感を覚えたのです。そして、私の会社のクレドを作ろうと考えています。そういう意味もあって、今回は実島先生に訊きたいことの全てを、お話しいただけたと思います。

それでは、「クレド」を簡単に振り返ってみましょう。この「クレド」は、あの高級ホテル、リッツカールトンが最初に導入して大変有名になりました。私自身も10年ほど前に「クレド」のセミナーに参加ことがあります。「クレド」は、3つのパーツから構成されており、まず1つはミッション、使命です。そして2つ目がビジョン、目標です。そして3つ目がバリュー、価値観ということです。

「ミッション」これは、仕事をして最終的にどうなりたいか、或いは何のためにこの仕事をしているか、これらを表現する必要があります。実島先生は、「2行ぐらいが最適」と仰っています。長ければ長いほど良いというものではありません。

次が「ビジョン」です。これは、目標です。「ミッション」を達成するためには、ランドマークが必要であり、その方向に向かっていることがはっきり解るように、例えば数字を入れてこれを表現する。これがビジョンです。これも、「2行程度で結構だ」と、実島先生は仰っています。

3番目が「バリュー」であり、価値観です。どういう価値観を持って仕事をするのかということです。この価値観は、10から15の項目を書き出せばよいのです。

「クレド」の運用、つまり作成して実行するのは、経営者ではなく、社員なのです。経営者は旗振り役であり、社員達が自主的に運用することが「クレド」の基本です。これを実島先生から聴いて驚きました。この「クレド」というのは、別の表現をすれば、会社・社員・お客様・地域この4者すべてが満足する仕事のやり方を言語化した物と言えます。

この「クレド」を導入した結果、十数年前は離職率が100%だったこのトリプルグッド税理士法人が、今や、会計甲子園優勝です。この会計甲子園は、経営者の実島先生が音頭を取ったわけではなくて、社員の方々が自主的にされたということを聞きまして、大変びっくりしました。

そしてもう1つは、働き甲斐のある会社100人以下の部門で日本一です。同じ経営者として本当に羨ましい限りです。私の会社も是非ともそうしたい、そうなりたい、少しずつ近づきたい、と切に思います。

最後に、経営者の皆様、クレド導入の行動をしてみませんか?その行動を通して、あなたがより豊かに、そしてあなたの周りの人々をより幸せにすることを頭の中にイメージしながら、この記事を終えることにします。

大坪 勇二

この記事を書いた人

【仕事のプロを育てるプロ】 コンテンツプロデューサー。人脈術と交渉術の専門家。

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