コロナ禍においても好調な事業はあります。「どうせどうせ…」と嘆いていても、経営が好転することはありませんから、好調な事業や会社から学び、ときにパクり、自分の事業に活かしたいですね。本記事では、好調な友人オーナーにインタビューしてみました。
過去最高益を出した医療品卸業のオーナー
――どうも。ご無沙汰してますね。何度も聞かれている質問かもしれないですが、事業はどうですか?
オーナー――「そうですね、その質問は何度もされてます(笑)。あまり声を大にしては言えないですが、好調どころか絶好調ですよ。
うちは医療品の卸しなので、お客さんは病院やクリニック、介護福祉施設、ドラッグストアなどです。ご存知のとおり、マスクや除菌剤などの急な需要高騰があったので…。まぁこんな話はしなくても想像のとおりですよね」
――ですよね。コロナショックといわれているように、経済的に大打撃を受けた会社が多いと思いますが、オーナーさんの事業の場合は、打撃は打撃でも良い方の打撃ですね。
オーナー――「そういうことになりますね。ただ、不況に強いから今の事業を始めたというわけでもないですし、今回のコロナ騒動を予測していたわけでもないです。偶然ですよ。そんなもんです」
――今の事業を始めたきっかけは何だったんですか?
オーナー――「偶然、友人に勧められたんです。やってみない? って。それで自分ひとりで始めて、お客さんは友人の伝を頼りながら営業しました。段々と売上が伸びて、人手が欲しくなったので雇って。徐々に人が増えて。で、人に任せられるようになって今に至る感じですね」
――特に戦略があって今の事業を始めたわけじゃなかったんですね。
オーナー――「そうです。何かドラマがあれば良かったんですけど、期待に沿えない回答で申し訳ないですね(笑)」
コロナ禍に新規事業を展開
――最近、何か新規事業を始めてましたよね?
オーナー――「はい。ハウスクリーニング事業を始めました。スタートしたのは、コロナの話題が出始める前ですけどね。事業責任者を雇って、彼に全権を与えてやってもらっています。私はオーナーとして資金を出したり、大きな舵取りをするくらいです」
――そちらも好調ですか?
オーナー――「そうですね。おかげさまで。もともとは、卸業の方のお客さんからの声で始めたんですよ。病院や施設で働いてる人って、とにかく忙しい。だから、家事の負担が大きいんです。少しでも家事の負担から解放させてあげられないかなって考えたのがハウスクリーニングでした。日本では、まだまだ家事は家のなかの誰かがやるべきって意識が強いですけど、誰がやったって良いじゃないですか。だったら、アウトソーシングしちゃえば良いじゃんって」
――確かにそうですよね。ハウスクリーニングに外注できる余力があれば、自分でやる必要はないですし、その時間を夫婦で過ごしたり、子どもと過ごしたり、趣味に使ったり。掃除が好きな人は別として、その方が幸福感も高まりそうですね。
オーナー――「そこなんですよ。単にアウトソーシングするってわけじゃなくて、幸せになるためにハウスクリーニングを活用するって感覚がもっと定着してほしいなって思ってます。
あと、コロナの影響もあって、最近は除菌空間デザイン事業としてハウスクリーニング事業を発展させています。衛生意識は当然高まっていますしね。“デザイン”というワードを加えたのは、家で過ごす時間が増える分、内装やインテリアにこだわる人も増えるだろうと感じたからです」
――さすがの発想ですね。着眼点がおもしろいですよね。
オーナー――「思い付きですよ(笑)」
先義の漢
――そういえば、この間すごく良いことしてましたよね?
オーナー――「その振り方だと、自分では言いにくい(笑)」
――マスクの寄付のことです(笑)
オーナー――「良いことというか、当たり前のことだと思ってますけどね。普段お世話になっている医療関係者や介護施設の方々にマスクを寄付しました。海外で買い付けてきたマスクです」
――素晴らしいですね。マスクの転売で儲けようという方が多かったですし、医療品の卸業もされているから、素直に会社の売上にしても良かったんじゃないですか?
オーナー――「そんなことをしたら、人間が廃りますよ。自分が生活する分やスタッフの給与くらいは出せるので、そこで利益を追うのは違うと感じたんですよね。
医療関係者や介護施設の方のなかには、できたら今は働きたくないって方もいらっしゃると思うんですが、現実的にはそうもいかないし、使命感で働いている方もいらっしゃいます。感染するリスクを取って働いてくれていて、そのおかげで社会が成り立っているわけだから、恩を返すのは当然じゃないですかね」
――相変わらず良い人ですね。今回の取材協力もありがとうございます。
オーナー――「匿名でお願いします(笑)」