以前私の営業セミナー中に、ある若手の保険営業マンからこんな質問をされた。
「飛び込み(営業)で受付を突破するにはどうしたらいいですか?」
質問には答えるのが講師の仕事だから、その場でなんとか回答を返したものの、
そのやりとりになんだか釈然としない気分が残った。
何かがおかしいぞ?…
目次
なぜ「保険営業」=「飛び込み営業」を連想するのか?
うーん、としばらく考え込んで、はっと気がついた。
質問者は、「保険の営業=飛び込み営業」という前提で考えているのだ。
おいおいおいおい、それっておかしくないか。
不肖私の、20年とちょっとの営業活動の経験からすると、「営業は縁が近い方から行く」のが最短で成功する道。
これに対してほとんどの人は、「縁の遠い方」から行きたがるという過ちを犯す。
典型的なのが「飛び込み営業」だ。
人員と資金のたっぷりある大企業ならともかく(まともな大企業ならそんな非効率なことはさせないけどね)、私たちスモールビジネスは絶対そんなことはしてはいけない。
とてもつもなく辛い人生が待っている。
私も、22年間にわたる保険営業人生の上で、飛び込み営業をしたのは、ほんの2日ほどだからね(笑)
すぐ「こりゃあかん」と撤退した。
その判断は絶対正しかったと今でも思う。
「縁が近い方から行く」営業手法で最も有力なのが、「紹介営業」と「セミナー営業」だ。
紹介営業は、成約率も高く連鎖反応が期待できる、つまりほぼ理想的な営業手法だが、唯一の欠点は、どちらかというと「待ちの営業」になるということ。成果が計算できないわけだ。
そして、その欠点を補う手法が、セミナー営業だ。
これは、「縁が近い方に行く」というより、「縁を作って行く」という言い方がより正確だ。セミナーを企画して見込客を集める…これならば自分から仕掛けることで、攻めの営業をすることができるし、数字も読みやすい。
一方、縁の近いところに行きたくないという意識の根底にあるのは、「自分のスキルに対する自信のなさ」、そしてそこから来る「罪悪感」だろう。
これはいくら飛び込み営業を重ねても少しも解決しないので、無間地獄は続くことになる。
▶︎成功する保険営業の「飛び込み」とは
▶︎弱虫営業マンの私が〝月収1万倍〟を実現させ〝虎〟になった秘密を大公開!
保険営業マンの年収アップと「心理テクニック」の落とし穴
「相手の心理を操る営業テクニックって、ありますかね?」
そんな質問もよくされる。
実は私、保険営業マンの時代から、催眠術を始め、心理系のスキル・ノウハウの習得に相当な時間とお金を投じてきた。
長年の勉強の甲斐があって、心理テクニックのスキルもついてきた。
最初は「人の心理を支配できれば、お金だってなんだってこの世のもので手に入らないものはない!」なんてことをと思っていたけど、実際にはそうでもない、ということも
わかってきた。
「人をコントロールするのは、短期的にはうまくいくことがあっても長い目でみれば見合わない」ということに気づいたのだ。
どういうことかというと……。
「テクニックによって人の心理を操ろうとすると、一時はうまくいったとしても、後が大変だぞ」ということ。
相手を心理的に操り、10しかない価値を20に見せて何かモノを買わせることに成功したとしよう。
…しかし、いつか必ず魔法は醒める。
一時期は愛があっただけに、その反動も強烈だ。相手の怒りも半端ない。憎しみも湧く。
恨みを買った結果、トラブルも引き寄せてしまうことになる。
実際、保険業界の私の周囲にもそんな人はいた。
営業職員時代、私の憧れだったS先輩が、まさにそういうタイプ。
若いのに、魔法のように大型保険の契約を次々に決めてくる。経験の浅い私は当時、そんなS先輩に憧れたものだ。
しかし、数年で彼の成績は急降下。
久々に聞いたS先輩のニュースは、お客を巻き込んだ詐欺がらみで懲戒を受け、会社にいられなくなって去っていったという信じがたいものだった。
「相手の心理を支配して操ろうとする」
保険営業マンは、このような考えでは必ず破滅が待っている。
では、どうすればいいか?
というビジネススタイルに徹することだ。
あなたの持っている商品の価格が30万円であろうが200万円であろうが、それよりも高い価値があると気づけば、人は争ってお金を払う。価値に気づいてもらうことで、行動(購入)を促すしかないのだ。
この違いに気づくことが保険営業マンとして長く繁栄し続けられるかどうかの分かれ目だ。20年以上やってきてそう強く思う。
▶︎保険営業・成功のための「3つの秘訣」
▶︎保険営業マン必見!アポが取れる「見込み客」探しのコツ
保険営業マン同士で年収格差が出てしまう理由は?
同じビジネススタイルで仕事をしていたとしても、保険営業マンは人によって年収に大きな差が出るものだ。
私がかつていた営業所では、最も高年収のメンバーの年収は4,000万円。最も少ないのは180万円だった。
その営業所は、生産性で全国ナンバー1を取るほどの優秀な支社だったが、それでも上位20%が総収入の80%を獲得する「パレートの法則」、いわゆる「2対8の法則」がもろに成り立っていた。
完全自由競争に近いフルコミッションの保険営業マンの世界は、もう絶対に相当な年収格差ができてしまう。
では、そもそも、格差はなぜできるのか。
「売上」とは、分解するとこういう式で表される。
これは保険営業の世界にも当てはまる。
客数では、そんなに大きな差はできない。
なぜなら誰しも時間は有限だからだ。大量のお客をつかまえる…とはいっても、限界があるのだ。
そして単価とリピートの差が出る要因、それはズバリ「誰をお客にするか」だ。
サラリーマン相手の契約なら、手数料はせいぜい数十万円レベルだが、これが法人保険であれば、場合によっては数千万円に跳ね上がる。
しかも、決算期毎に役員の昇格があったり、新人が入ってくるのでその度毎にリピート契約が上がる。
保険業界へ転職すれば「年収は青天井」は本当か?
結論から言えば、青天井は本当だった。
私のケースでいえば、本のタイトルにもしたけど、保険会社時代の月の手取りの最高額は、1,845万円(額面は2,300万円)。
繰り返すけど、”月の手取り”だ。
こういうことになるのも、当時の私の歩合給が、営業マンが世の中から集めてきたお金(保険料)のパーセンテージというわかりやすいものだったからだ。
もちろん、報酬の計算式は各社ごとに違う。
しかし、私の知っている範囲では「報酬の上限のある会社」というのは聞いたことがなかった。
諸先輩の中には、月収8,000万円!の方(ちなみに日本社。ちなみに女性)もいらした
くらいだ。
日本の企業社会には珍しい、稼いだら稼いだだけもらえる、掛け値無しの青天井だ。
性別学歴は全く関係ないし、商品単価は業界全体でほぼ同じ(許認可商品だからね)だし、営業テリトリーがないのが普通。年次による有利不利もない。年度が改まればベテランも新人も横一線の一斉スタートの、完璧に近い、自由競争の世界だ。
一方、本人の自由裁量の余地がここまで大きいと、「パレートの法則」どおりの現象がそのまま起こる。
すなわち、上位2割の保険営業マンが全体の8割の収入を得る。
富の集中だ。
当時、私がいた支社で実際に調べたことがあるが、上位20%の営業マンが全体の販売手数料の75%を得ていた(これ、私自身が電卓を叩いて確認したことだから間違いない)。
なぜこういうことになるかというと、本人の自由裁量の余地が大きいから、仕事の巧拙がそのままストレートに成果に直結するからだ。
だから、この二極化構造は固定されやすい。
うーん、それってゾッとするよね。
これを読んでいるあなたは、当然「上位20%」の方に回りたいはず(笑)
そのために何をすればいいかは、それ自体がさまざまな大きなテーマなので、また別に機会にじっくり書くつもりだ。
ただ、一つヒントをあげるとすれば……。
それは、先ほどのお話のとおりだ。
8割決まる』
このことを忘れないでいただきたい。
▶︎「辞める?辞めない?」保険営業を辞めて転職したいと思ったときに
私はこの本を読んで保険営業マンとして成功した!
相手の目的=ゴールを知り、自分の話がそのゴールに合致するものだと思わせて、相手の情動を引っ張り出す。」(『君も年収1億円プレイヤーになれる』苫米地英人・著 宝島社)
保険業界に入った当初、
私はそもそも大きな勘違いをしていた。
完成されたセールストークを覚えて、
それをテープレコーダーのように見込み客の前で正確に繰り返し再生すれば
モノは売れると信じていた。
ご想像の通り、
生命保険のような販売の難しい商品が、
そんなんで売れるわけない。
この致命的な間違いにより、
数年もの間苦しみが続いたものだ。
で、時は流れて、いま。
自慢話めいて恐縮だが、
セールスで外す気がしない。
特に社長相手の場合、
個別商談はほぼ100%決める自信がある。
なぜそうなれたかというと、
保険営業マン時代から20年以上にわたり研究してきた
セールスのレジェンドたちの技法を吸収し、
自分のビジネスに取り込んできたことが大きい。
では、
レジェンドたちがやっている究極の技法、
そして自分が追い求めてきたセールスの本質とは何か。
それがまだうまく言葉にできなかった時に、
この本と出会った。
この本は、
セールス本ではない。
コーチングや脳科学に関しての本だ。
だからセールスについて触れられているパートは、
126頁から129頁までのわずか4頁だけ。
だが、一読し、思わず声が出た。
おおおおおお!
これほど見事にセールスの極意を表現したものを他に知らない。
苫米地博士はそれを
わずか3行で表現した。
2)そのゴール実現に必要な情報、リソースを自分が持っていることを伝え、
3)相手の情動を引っ張り出す
これなのだ。
世の中の営業マンの9割は、
そもそも見込み客のゴールに興味すら持たない例がほとんど。
これでは売れるわけない(笑)
ところで、このゴールという言葉、
これはコーチング用語なので、
単純に「目標」と捉えてしまってはいけない。
そうすると
ここもまた浅いプロファイリングになってしまう。
苫米地式コーチングでいうゴールとは、
現状の外側に設定するものだ。
つまり
「どうやったらたどり着けるかわからないけど、とにかくワクワクするもの」である必要があるのだ。
ま、この辺りに関しては
苫米地博士の他の著作を読んで参考にして下さい。
博士の著作はめちゃめちゃ面白い。
あなたのゴール達成の必ず役に立つよ。
ちなみに
この本はすでに絶版なので入手が難しい。
けど、
私のように苦しみたくなかったら読んでおくこと。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800210631/keystonef-22/