「将来、この会社をどうしよう……」
「後継者もいないし……」
そう考える中小企業の社長さんたちのなかで、「スモールM&A」という選択をする人が増えてきています。
保険営業マンであるあなたのクライアントとなっている社長さんも、もしかしたらそのことに気づいているかもしれませんね。
そしてあなたが「スモールM&Aアドバイザー」として社長さんの力になってあげることができれば……あなたの保険営業ビジネスも、一段上のステージにレベルアップすることでしょう。
ところで、スモールM&Aアドバイザーにも、悪徳業者が存在します。今回は「ダメなスモールM&Aアドバイザー」についてお話ししましょう。
買い手・売り手にメリットしか伝えない?
相手に〝メリット〟ばかりを伝えて、デメリットやリスクに関する説明をしない人は、どんな業界でも信用を得ることはできないはずです。つまり「ウマい話ばかりする」スモールM&Aアドバイザーは、ダメなアドバイザーの典型ということ。
スモールM&Aで売買されるのは「会社」です。会社にはさまざまな役割を担うさまざまな人材もいますし、当然のことながら、商品やサービスもあります。さらに顧客や取引先、設備……実にたくさんの要素があって、それらが複雑に関係しているわけです。デメリットなし・リスクなしなんてことはあり得ません。
「スタッフのみんなは、その後も残ってくれるのか」
「取引先は契約を維持してくれるのか」
保険営業マンとして中小企業の社長さんを見てきているあなたにはわかるはずです。そう、「会社を売る」というのは、とても繊細なこと。たとえばM&Aで会社を売るなんていう話が漏れてしまえば、今ある人材やお客様、取引先を失いかねませんから、M&Aの話をどう進めるのかは、極めて慎重になる必要があります。
そんなとき、親身に相談できる人がいれば何よりでしょう(あなたはそんな存在になれるでしょうか?)。
悪徳M&A仲介業者がいることを認識する
M&Aを進めようと思ったときには「M&A仲介会社(仲介業者)」に相談することが多いと思います。
しかし、なかには〝悪徳M&A仲介会社〟もあるものです。
売り手企業と買い手企業の間に立つM&A仲介会社は、情報を独占し管理することが容易にできます。だから「メリットだけ」を伝えることもまた簡単にできてしまうでしょう(デメリットやリスクについては、隠すこともできますから)。
さらに、売り手企業と買い手企業の双方から仲介手数料をもらうことが多いことから、売り手企業には「高く売れた場合は、インセンティブ報酬を」、買い手企業には「安く買えた場合には、インセンティブ報酬を」といった具合に、譲渡金額が高くなっても安くなっても、インセンティブ報酬を受け取れるように契約しているケースもあります。
自分の利益を上乗せしているケースも……
2019年7月のダイヤモンドオンラインに、このような記事が掲載されました。
しかし、悪徳業者は違います。売り手企業は仲介会社の算出した「本来の」売却適正価格を知らされないので、5億円という数字は知りません。悪徳業者はそれをいいことに巧みな話術で売り手企業を煙に巻き、こう言い放ちます。
「当社と取引のある買い手さんをくまなく回ったのですが、どうしても2億円以上で買ってくれる会社が出てこないんです。でも、この会社は良心的ですよ。ここで決断しなければ、市場価格はどんどん下がっていってしまいますよ」
その会社しか好条件での買い手企業がいないように錯覚させ、その金額で合意しないと損をするような気になる心理状態に置き、追い詰めて契約を結ばせるのです。
売り手企業の経営者は、M&Aを経験したことがない素人です。どのような金額が相場なのか判断基準を持っていません。
「手数料はいらない」と言ってくれた良心的な業者なので、その言葉に嘘はないと信じ込み、うっかり契約書にサインしてしまう。
その結果、売り手企業は5億円で売れたはずの会社を、たった2億円で売却してしまうことになります。
では差額の3億円はどこにいくのでしょうか。
この詐欺まがいの仕組みは買い手企業も承諾していないと成立しないので、実質的には仲介会社と買い手企業で「山分け」することになります。
引用元:『5億で売れたはずの会社を2億円で売却! 億単位でピンハネするM&A悪徳業者の「甘い罠」』(ダイヤモンドオンライン 2019.7.16)
とんでもない話ですが、これはM&Aの悪徳仲介会社が行っている現実です。ですから、会社を売ろうかなと思っても、インターネットで検索してM&A仲介会社を探すのは得策とは言えないのです。
じゃあ、どうすればいいか?
そう、社長さんにとっては「身近で信頼できる人に相談すること」が、一番安心なわけです。「保険営業の虎」で私たちが保険営業マンに「スモールM&Aアドバイザー」という選択肢を提案している理由、それは保険営業マンこそが「社長さんにとって信頼できる人」となり得る資質を持っているからに他なりません。