2020年3月6日に国税庁が発表したように、新型コロナウイルス拡大の影響により確定申告の期限が3月16日から4月16日まで延長されました。詳しくは、国税庁HPを確認してください。『申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限が令和2年4月16日(木)まで延長されました(国税庁HPより)』。確定申告の期限まで約1カ月。経費に計上できるものと経費に計上できないものをおさらいしておきましょう。
確定申告期限にまだ間に合う! 経費で落とせる5つのもの
以前、『保険営業が知らないと損する「税金」「助成金」「補助金」の話』の記事でご紹介したように、保険営業なら税金や助成金、補助金について知っておきたいところです。お客様から質問されることも多いですからね。
本稿では、経費で落とせるもの5選をご紹介します。
- 5000円以上の飲食代は「接待交際費」として計上できる
保険営業の方なら、取引先と食事をする機会は多いでしょう。取引先の社長さんやそのご家族、社員さんとの食事代は「接待交際費」として計上できます。
「接待交際費」は、法人の場合はその金額に上限がありますが、個人事業の場合は上限がありません。ただし、収入と経費のバランスを考慮して常識の範囲内に留めておきましょう。
また、打ち合せの際の飲食代等も経費にすることができます。喫茶店やカフェのコーヒー代も保険営業の方にとっては固定費に近いくらいの出費ですし、立派な経費ですよね。ただし、1人での飲食代等は原則として経費にすることはできませんのでご注意ください。
2.お客様に配るカレンダーや手帳、プレゼント(贈答品)は経費に計上できる
保険営業の方は、カレンダーや手帳、ちょっとしたお菓子、プレゼントなどをお客様にお渡しすることも多いですよね。
もちろん、それらも経費として計上できます。
「プレゼント(贈答品)が保険営業の事業に必要であること」
「常識の範囲内の適正な金額や物品であること」
この2つの条件がクリアされていれば、
- お客様へのお歳暮やお中元
- 取引先への営業挨拶やお礼
- お客様のお祝い(周年記念)
も経費にしてOKです。必ず領収書を保存し、お客様の名前など、渡した相手の情報をメモしておいてください。贈答していることを証明できることが大切です。
3.電車・新幹線等の交通費やガソリン代は「旅費交通費」として計上できる
保険営業は足を使う仕事です。お客様のところに訪問することが多いため、交通費がかなりかさみますよね。
地元だけでなく、全国各地や「東京都内と福岡」「東京都内と大阪」「東京都内と名古屋」「東京都内と仙台」などのように、エリアを決めて営業している方も多いでしょう。移動距離が多い人ほど、交通費は大きな負担になります。
電車代などの領収書が出ないものは、出金伝票にまとめるなどして経費にしましょう。もちろん、ガソリン代も事業に必要なものであれば経費に計上できます。
4.家賃は「地代家賃」として、電気代やガス代・水道代は「光熱費」として計上できる
事業のために事務所・オフィスを借りているのであれば、その家賃は全額経費として計上できます。
保険営業の方のなかには、自宅を事務所として利用している方も多いでしょう。この場合は、車両代金と同様に事業部分に対応するところが経費になります。
家賃の場合、床面積で按分(あんぶん)することが多く、事務所として利用している部分に対応する家賃は経費として計上可能です。
家賃だけでなく、事業に使う光熱費等も事業に対応する部分は経費にできます。電気代やガス代、水道代は、使用時間で按分して光熱費として計上します。
- ペンやコピー用紙などは「消耗品費」として計上できる
ペンやコピー用紙、インク代などの事務用品代も事業で使用しているものは経費として計上できます。細かな出費ですが、年間で考えるとある程度の金額になるはずです。
仕事で使う知識を身につけるための本の購入や資格取得費も経費にすることができます。ただし、経費として認められない費用もありますので、経費にしたい場合は、一度税理士などの専門家に相談してみましょう。当サイトからお問い合わせいただければ、税理士の先生をご紹介することも可能です。
これは経費で落とせない!? 注意が必要な8つ
経費として計上できるものがある一方、もちろん計上できないものもあります。
- 事業主自身のための支払い
事業主自身の給料や健康診断費用は経費にできません。ただし、従業員分は計上可能です。
他に、事業主自身の税金(所得税、住民税、相続税、贈与税、加算税・延滞税等)も経費にできません。ただし、事業用の印紙税、個人事業税は経費になります。
事業主自身の国民年金・国民健康保険の保険料は経費にはなりませんが、「所得控除」に記入することで税金を安くすることが可能です。
保険営業の方でしたらよくご存知だと思いますが、事業主自身の生命保険料・損害保険料は「生命保険・地震保険料控除」とすることで税金を減らすことはできますが、会社員と同じく上限があります。
2.事業と無関係の支払い
事業と関係のない飲食代やお中元・お歳暮などの贈答品、慶弔見舞金は経費として計上することはできません。
3.家庭用の支払い
家庭用の水道光熱費、ガソリン・灯油代、電話料金、インターネット使用料、自動車保険料・火災保険料、固定資産税・自動車税は経費として計上することはできません。ただし、前述のとおり按分して計上することは可能です。
4.子どもの学費
大学や専門学校、塾などの出費は、できれば経費にしたいくらいですが、残念ながら計上することはできません。
5.金融機関からの借入金の元金や住宅ローンの元本
銀行や金融機関から借りた融資の元金や住宅ローンの元本も、経費として計上することはできません。
6.敷金、保証金
敷金や保証金は、経費ではなく「資産」として会計処理します。敷金は、退去時に戻ってくることが前提のお金だからです。使用する勘定科目は、「敷金」または「差入保証金」になります。
7.1点の購入価額が10万円超のもの
パソコンや機械など、1点10万円超の購入価格のものは一括して経費計上せず、「固定資産」として計上します。その後、定められた法定耐用年数(寿命のようなもの)に応じて「減価償却費」として経費計上していきます。
8.交通違反等の罰金や反則金
業務中に起こした交通違反等の罰金や反則金の支払いは、経費にすることができません。ただし、業務上の駐車違反の場合は、レッカー代、駐車料金は経費にできます。
10万円のオーダースーツは経費で落とせる?
スーツは、保険営業の方にとって必須アイテムです。
ある意味では消耗品ともいえますし、できれば全額を経費として計上したいですよね。フルオーダースーツやパターンオーダースーツ、オーダーメイドでなくても高級スーツであればそれなりの金額になります。
ただ、スーツや靴は「プライベートでも使用する可能性があり、必ずしも事業だけで使用するとは限らない」ため、すべてを経費にはできないという考え方もあります。見解は税理士さんによって異なることがあるため、確認してみてください。
領収書やレシートがある場合、按分してスーツ代の5分の4を経費にすることができます。
例えば、10万円のスーツを購入した場合
- 消耗品費 8万円は経費
- 事業主貸 2万円は個人事業主が負担
ということになります。
保険営業の方の中には、セミナーや勉強会を開催している方もいらっしゃるでしょう。ある保険営業パーソンは、オーダースーツに「ステージ専用 ◎◎」と名前を刺しゅうしている方もいらっしゃいます。その方は、「このスーツは、登壇する際に着るステージ衣装(=作業着)」として経費計上していました。
これも、見解は税理士さんによって異なることがあるため、確認してみてくださいね。