中小企業が売り手企業にも買い手企業にもなるスモールM&A市場。買い手企業は、M&Aになにを望んでいるのでしょうか? 買収後のアフターM&A(PMI)で課題になることとは? 「スモールM&Aに保険営業マン最強説」を唱える当メディアがわかりやすく解説します。
オーナーチェンジ後に売上が下がるのは避けたい
買い手企業は、さまざまな理由でスモールM&Aを検討します。
- 新規事業立ち上げの時間を短縮するため
- ノウハウを手に入れるため
- 人材を確保するため
- 新規事業の失敗リスクを軽減するため
- 本業とのシナジーを期待して、成長戦略のために
などなどです。
スモールM&Aによってオーナーチェンジした後、新オーナーがもっとも避けたいのは「売上を下げること」。
売上が下がって利益が薄くなれば、ROI(投資対効果)も下がってしまいます。「投資額を5年で回収できる」と思って買った会社や事業が、あれよあれよといううちに売上が下がり、赤字になってしまったら…。
事業なので予期せぬ出来事はつきものなのですが、売上の急落や赤字化は絶対に避けたいですよね。
さらに、
「オーナーが代わってから売上が下がった」
「労働環境や条件も悪くなった」
「このままでは社内キャリアを描けない」
という雰囲気が社内で広まれば、人材流出のリスクも高まってしまいます。
そんな事態を避けるためにも、「売上を死守したい」と考えるのは当然です。
買い手企業がまず望むのは、売上や利益を維持し、人材を維持すること。
本業とのシナジーを目指すのは、その次のステップでしょう。
売上という真水は、企業にとって極めて大切なものですからね。
保険営業スキルはマーケティングである
売上を落とさないためには、マーケティングが必要です。
マーケティングの本質は、「営業活動なしに売上を生み出す仕組みやその構築」とも言われています。
ですが、最初から売上を自動的に生み出すことはできません。
マーケティングと言うと、なにか特別なスキルのように感じるかもしれませんが、保険営業の方々が日々していることもマーケティングの一つです。
- DMをつくり発送する
- 見込み客や訪問先リストをつくる
- テレアポをする
- 商談する
- 契約する
- アポ獲得率を上げる
- 商談からの契約獲得率を上げる
などなど、毎日当たり前のようにしているはずです。
原因(行動)と結果(契約)を分析すること、仮説を立てて行動すること、行動目標や数値目標を決めて予実管理すること。
これらはすべて、マーケティングでもあります。
保険営業マンによっては、セミナーや勉強会・コミュニティを営業活動に活用している方もいらっしゃるでしょうし、最近はSNSやネット広告、出版などを活用している方もいらっしゃるでしょう。
オフラインであれオンラインであれ、それらの経験はアフターM&Aでも活かせるはずです。
アフターM&Aについては、こちらの記事『アフターM&Aで活かせる保険営業マンのスキルとは』をご覧ください。
保険営業×スモールM&Aアドバイザー×CMOという複業化も
前述の『アフターM&Aで活かせる保険営業マンのスキルとは』でも書いたように、保険営業の方々はスモールM&Aにおいて、案件発掘や社長の背中を押すという大きな役割を担うことができます。
『【スモールM&A】と【保険営業】はシナジーが効く』という記事では、スモールM&Aの第一人者である齋藤由紀夫氏が、スモールM&Aと保険営業マンの相性の良さについて語っています。
ここにさらに、アフターM&Aでマーケティング支援ができたらどうでしょうか?
最近は、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を置く企業もあります。今お持ちの保険営業のスキルに、マーケティング全般の知識を付加する。
これだけでも、アフターM&Aで買い手企業にCMOとして入り込める可能性が上がるでしょう。
実績ができれば、社外取締役になってほしいというオファーが来るかもしれません。
- 保険営業の収入
- スモールM&Aでの収入(紹介手数料や仲介手数料)
- CMOとしての顧問料や役員報酬
スモールM&Aを通じて、3つの収入源を得ることも不可能ではありません。
保険営業マンにとって、これほど相性の良いビジネスはないと思います。
弁護士や公認会計士、税理士の先生方など、優秀な士業ともご縁ができますので、人脈も広がりますよ。