生命保険はコンビニで! の時代へ
2020年6月16日、保険業界の歴史に新たな1ページが刻まれた!
……いきなり大層なセリフで始まりましたが、これは本当のこと。
何かといえば、そう、なんとコンビニエンスストア最大手のセブンイレブンジャパンが、全国2万店舗で一斉に生命保険の販売を開始したのです。
もちろん、コンビニが保険商品を販売すること自体は、今回が初めてではありません。しかし今まで取り扱われていたものは、書類が少なくて済む、さまざまな「損害保険」が中心。それがいよいよ、「生命保険」まで販売するようになった。
「生命保険はコンビニで加入!」って時代になったわけです。
このきっかけになったのは、言わずと知れた新型コロナウイルスの危機。対面営業で保険を売れなくなってしまった状況下において、非対面営業の新たなかたちとして、この「コンビニでの販売」が導入されたわけです。
保険の対面営業の代表といえば、それは来店型の“保険ショップ”ですよね。一時期はぐんと増加したこの保険ショップですが、最近は少し頭打ち状態。2019年度では昨対比6%減の2497店舗となっています。
全国に2497店舗って、結構な数だと思いますよね?
これに対してセブンイレブンが全国に何店舗あるかといえば……2万930店舗!
保険ショップの8倍以上です。
この膨大な数の店舗で生命保険が加入できてしまう……保険業界に与える影響力は計り知れないものですよね。冒頭で申し上げたセリフ、決して大げさでないことがおわかりでしょう。
セブンイレブンの武器と“本気度”に注目!?
どうやってセブンイレブンが店舗で保険を売るか?
利用するのはセブンイレブンにある複合機「マルチコピー機」。
コピーやプリントのみならず、インターネットにつながっていることから、各種チケットの購入、さらには住民票や印鑑登録証明書などの取得といった行政サービスにも対応する、極めて便利なマシンです。
このしくみがセブンイレブンの武器。
『マルチコピー機に個人情報を入力して、その後レジにて保険料を支払う』
これがセブンイレブンでの保険の買い方です。
あなたもこのやり方でコンサートやイベントのチケットを購入したことがあるかもしれませんね。
まさにそれと同じ感覚。“立ち寄ったコンビニで買い物のついでに”保険に加入できるわけです。
とはいえ、人生にかかわる選択ともいえる「保険契約」をコンビニの店頭で気軽に行ってしまうことに、抵抗や不安を感じる人も多くいるでしょう。
そこでセブンイレブンがどのような対策を考えているかといえば……。
いつでも電話で商品の疑問等に応えるための
「24時間365日受付の専用コールセンターの設置」です。
しかもそのコールセンターに配置し電話対応を担当するのは、
単なる事務スタッフではなく、「保険販売の資格がある募集人」。
うーん、このあたりにセブンイレブンの意気込み、保険販売への“本気度”みたいなものが見えますよね。
「三井住友海上あいおい生命」が「がん保険」で「高齢者」をターゲットに!
このたびセブンイレブンと提携した保険会社は「三井住友海上あいおい生命」。そしてまず取り扱う保険商品は「がん保険」のみだといいます。
がん保険がコンビニでどれだけ売れるか? そのあたりをテストしながら、今後新たな拡大を検討していくのではないでしょうか。
がん保険のお値段、つまり保険料はといえば、安いものでは千円以下のものも用意しているそうです。
メインターゲットは、ずばり「高齢者」。高齢者を中心に年間6万件の契約を目指すそうです。
高齢者はコンビニで機械を操作して買い物をするのは苦手?
そこはちゃんと、前述の「専用コールセンター」のフォローがあるわけですね。
それに加えて、このコンビニでの販売を通じて、個人保険の新規契約数年間30万件強を上乗せする。それが三井住友海上あいおい生命の新規顧客開拓の見込みだということです。
今後はセブンイレブンを追随するかたちで、ローソンやファミリーマートなどのチェーンでも、生命保険の販売が始まるのではないでしょうか?
またがん保険のみならず、医療保険や死亡保険など、シンプルな保険商品もこれから展開されていくであろうことは、容易に想像できますよね。
コロナ後の保険業界……生き残りのキーワードはやはり「非対面」ということになりますね。いつまでも従来のやり方に固執していては、新たな販売チャネル、システムには勝てません。
保険営業パーソン1人ひとりが、どんな対策をして、どんな差別化を図り、そしてどう行動するか? 常に考えていかなければなりませんね。
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