最新の心理学、認知科学をベースとしたコーチング理論を使って自分自身のパフォーマンスを最大化するセルフコーチングを実践し、個人はもちろん、スポーツチームや会社組織まで幅広い人々のパフォーマンスを高める専門家であるプロコーチによるセルフコーチング講座第10回。もしあなたが自分自身の本当のパフォーマンスを発揮したいと考えるのなら、「エフィカシー」を高める必要があります。
人は「できる」と思ったことしか「できない」
「エベレストに登ってください」
そう言われたらどうしますか?
普通の人は「そんなの無理」と思って何も行動しないでしょう。
しかし、あなたが経験豊富な登山家だったとしたら、チャレンジに向けて動き出すかもしれません。
この違いはゴール達成に対するイメージにあります。
普通の人はエベレストに登ってくださいと言われても、
どういった準備が必要か?
トレーニングはどうしたらいいのか?
実際にどうやって登るのか?
まったく想像がつきません。
だからそれが実現できるイメージが浮かばず、行動につなげることができないのです。
しかし、これまでに沢山の登山経験を持つ登山家であれば、そういったことを具体的にイメージすることができます。
そして、
「自分にはできる」
という確信を持つことで、実現に向けて行動することができるのです。
私たちのマインドは
「自分にはできる」
と思ったことしか実現しようしません。
最初から「無理」と思っていることには全力で取り組もうとはしないのです。
会社の中でも、上司が一方的に決めた数値目標に対して、部下たちが
「そんなの無理」と感じていれば、本来のパフォーマンスは発揮されません。
むしろ、上司の立てた目標がいかに無謀だったかを
証明するため、わざと失敗するように仕向けたりする。
それが私たちのマインドの仕組みなのです。
エフィカシーがパフォーマンスを決める
「自分にはできる」
この確信を”エフィカシー”と呼びます。
その定義は「自分自身のゴール達成能力の自己評価」です。
つまり、自分がゴールを達成できると、自分自身でどれだけ評価しているかということです。
私たちは「できる」と思ったことしかできないわけですから、
ゴールを設定したら、それに対してどれだけ、できると確信できるか、
すなわち高いエフィカシーを持てるかで、実際にそれを達成できるかどうか決まってしまうのです。
今年、メジャーリーグに挑戦したプロ野球元横浜DeNAの筒香嘉智選手がまだ1軍に定着できず、5年目を迎えて引退すら覚悟した時、
コーチと共に取り組んだのが、
「横浜スタジアムで大活躍するイメージ」
をつくることだったそうです。
実際には2軍で練習していた彼が、頭の中で満員の横浜スタジアムの1軍の試合でホームランを打って大歓声を浴びるイメージをつくったのです。
それは自分自身の中で
「1軍の大舞台で活躍できる」
という確信、
つまりエフィカシーを高めるためでした。
結果、それからほどなくして、彼は1軍で大活躍し、日本代表の4番バッターまで登り詰めたのです。
私たちが本当のパフォーマンスを発揮するためのカギ、それが”エフィカシー”なのです。
エフィカシーを高めるために
エフィカシーとは自分が設定したゴールに対しての自己評価です。
ゴールとは未来のことですから、エフィカシーとは未来側の評価であり、
まだ起きていないことを自分自身で評価することを意味します。
未来のことなんて、誰にもわからないわけですから、あくまで自分の中でどう評価をするかという問題なわけです。
「何を根拠に?」
なんてことを気にされる方もいますが、そもそも根拠というのは「過去」のものでそれが未来に通用するかはわかりません。
かつてブラウン管テレビで世界を席巻したソニーがその自らの成功体験に縛られ、薄型テレビへの参入で大きく出遅れたことは有名な話です。
過去に上手くいった実績や経験が、必ずしも未来の成功につながるとは限らないのです。
私たちは自分自身の本当の能力を知ることなどできません。
それは、自分にはまだ未知の可能性がいくらでも眠っていることを意味します。
「すべての人には無限の可能性がある」
それこそが、エフィカシーの根拠となります。
だからまず、大切なことは、筒香選手のようにあたまの中で
過去に捉われず自分の未来の可能性を高く評価したイメージをつくることです。
誰に遠慮する必要もありません。
人に言わずにあなたの中だけで考えればいいのです。
あなたが高いエフィカシーを持った時、あなたの行動は変わり、必要なものを次々と手に入れていくでしょう。
未来を決めるのはあなたの自分自身への評価なのです。
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