『保険営業パーソンが着る10万円のオーダースーツは経費で落とせるのか?』の記事でご紹介したように、新型コロナウイルス拡大の影響により確定申告の期限が3月16日から4月16日まで延長されました。詳しくは、国税庁HPをご確認ください。今回は、経費に計上したい11の項目についてご紹介します。
保険営業パーソンなら計上したい11の経費
- 接待交際費
- 販売促進費
- 交通費
- 車両燃料費
- 通信費
- 会議研修費
- 損害保険料
- 租税公課
- 会社控除経費
- 雑費
- 減価償却
この11の経費が、保険営業パーソンが計上したい経費となります。
1.接待交際費
保険営業パーソンなら、お客様と食事に行ったり、冠婚葬祭に行ったりする機会は多いですよね。一人の食事や友人との食事は経費にできませんが、お客様との食事であれば経費に計上できます。親族の冠婚葬祭の見舞金は経費に計上できませんが、お客様の冠婚葬祭のお見舞金であれば計上可能です。
2.販売促進費
販売促進費は、接待交際費と似ていますが、経費科目としては異なります。販売促進費は、主に保険営業パーソンがお客様・取引先に贈る品物やお歳暮、お中元などのことです。ただし、車や高級時計、冷蔵庫などの極端に高価なものは経費にはなりません。また、自分たちで消費するものも、もちろん経費にはなりません。
3.交通費
保険営業の仕事に「移動」はつきもの。電車代やバス代、高速代(ETCなど)は経費として計上できます。既契約者との商談・面談や新規開拓営業が目的であれば、すべて経費として計上可能です。
4.車両燃料費
ガソリン代や駐車場代、タイヤやオイルの交換代、洗車代、JAF代などが車両燃料費に該当します。車を維持するために必要な経費は、車両燃料費になります。ただし、車をプライベートでも使用している場合は、事業費割合(仕事で使用した割合)を計算し、使った費用にかけて計上してください。
5.通信費
携帯電話代や固定電話代、Wi-Fi代、書類などの郵送費、ハガキ代、切手代などは通信費として計上できます。保険営業パーソンは、仕事用とプライベート用に携帯電話を2台お持ちの方もいらっしゃるでしょうから、仕事用の方だけを計上すれば事業費割合(仕事で使用した割合)を計算する必要はありません。
6.会議研修費
カフェや喫茶店、レンタル会議室などで仕事仲間と会議をしたときの飲食代やレンタル会議室のレンタル費用は会議研修費として計上できます。
7.損害保険料
車の任意保険や自賠責保険など、保険関係の経費は損害保険料に該当します。ただし、生命保険に加入している場合は経費ではなく生命保険料控除として活用してください。
8.租税公課
自動車税などの税金や組合費などは、租税公課に該当します。事務所などを自分で所有している場合は、固定資産税も租税公課に該当します。ただし、住民税や所得税は所得を得るための経費ではないため、該当しません。
組合費は、多くの生命保険会社が給与から毎月何千円かを天引きしているものです。会社から出される給与明細を確認すれば、「組合費」と記載されているものがあるはずです。そちらは、租税公課として計上することができます。
9.会社控除経費
所属する保険会社からあらかじめ給与天引きされている経費です。こちらも、会社から出される給与明細を確認してみてください。会社から控除されている費用として、一括計上してもらうことも可能です。
10.雑費
上記に該当しないものは、一旦雑費として計上しておきましょう。経費科目が判断できないものは、一旦雑費として計上しておいて、後で税理士の先生にアドバイスをいただくと良いと思います。
11.減価償却
自動車やバイク、PC、タブレット、コピー機など、仕事に使用するもので、単価が10万円以上で購入したものは基本的に減価償却になります。
減価償却とは、一定額を超える高額なもの(資産)を何年かかけて分割して経費計上することです。
分割する年数(耐用年数)はものによって異なるため、保有している資産の耐用年数を国税庁のホームページで調べて計上してください。
なぜ保険営業パーソンは確定申告が必要なのか?
保険営業パーソンにとって、「節税」「経費計上」「領収書」「確定申告」などは気になるワードでしょう。
保険会社に入ったとき、先輩から「確定申告のときに必要になるから、領収書を集めておくように」と言われたことはないでしょうか? 確定申告をする上で、領収書を集めることは必須です。私がお世話になっている保険営業パーソンも、「領収書ください」と会う度に言ってきます。出会った当時は、私もサラリーマンだったのでその意図がよくわかっていなかったのですが、私も確定申告をするようになり、「領収書ください」の意図がわかるようになりました。
保険営業パーソンを含めた個人事業主(フリーランサー)が確定申告する際、「事業収入」や「事業所得」などの欄に金額を入力する必要があります。
会社員であれば、「給与所得控除」というものがありますが、個人事業主(フリーランサー)には給与所得控除はありません。その代わりに、「経費」を落とすことができるようになります。
保険営業パーソンは、保険会社から「委任業務」という形で仕事を任されているため、仕事で必要な経費は確定申告時に経費として落とし、経費で落とした分には税金がかからないという仕組みです。
個人事業主(フリーランサー)は給与所得控除がない分、会社員の方より控除は少ないのですが、その分確定申告で経費を計上できれば、税金の負担を軽くすることができます。
確実に経費計上できる経費は実はない?
前述の11の経費は、確定申告において保険営業パーソンが計上できる経費の代表例です。
しかし、これらの経費は「法律ですべて計上できる」と決まっているわけではありません。
経費の定義で重要なのは、「客観的にみて、所得を得るための仕事に必要な出費と考えられるかどうか」です。
仕事に必要であると考えられれば経費とみなされますし、そうでないものは経費とはみなされません。客観的に考え、きちんと説明できるようにした上で計上するようにしましょう。
判断に迷う場合は、税理士の先生に相談してみると良いでしょう。
『<相談前に確認必須!>OB税理士が生涯逃れられない「4つの背番号」』
の記事で紹介されているように、税金のプロ中のプロである国税出身税理士の先生にも専門領域があります。
個人事業主(フリーランサー)の税務判断は、国税出身税理士の先生に依頼するほど複雑なものではないかもしれませんが、あとから追徴課税などで困らないように、相談できる関係性を築いておくことも大切かもしれません。
また、国税出身税理士の先生とつながっていれば、既契約者のお客様のお役に立てるかもしれませんよね。特に、既契約者のお客様が経営者であれば尚更です。国税出身税理士の先生をご紹介してほしいという方は、お問い合わせください。