「押しの弱さ」は生まれつきだから変えられない!
「相手に強くものを言えない」
「お願い事ができない」
「ガツガツといけない」
「押しが弱い」
そんな人は保険営業には向いていない? というか、保険営業はみんな〝鋼のメンタル〟で、どんどん相手に攻め込んでいける人ばかり?
いやいや、実はそんなことはありません。何をかくそう、私自身が豆腐メンタル! 気の弱い営業の代表みたいな存在だったんです。
相手に無理にお願いをしたり、強く説得したりするのは何だか悪い気がして、できない……。
でも、保険営業の仕事には、それではやっていけないという場面も多くあります。
たとえば「クロージング」の場面。あるいは「紹介入手」。相手の意思のままに動くだけではなくて、相手の背中をグッと押してあげなければいけない、という場面ですね。
これが苦手、という人が結構多くて、もちろん私も大の苦手でしたね。なかなか一歩踏み込んで「お願いします!」が言えないわけです。
保険営業に限らず、「できる営業パーソン」って、この「押し」が強いイメージがありますよね。
たしかに押しが弱いよりは強いほうが有利な面はあるでしょう。私も押しの強い先輩や同僚を見て、うらやましく思ったものです。「俺にはあんなふうにはできないな……」なんてね。
「俺にはあんなふうにできない」だって、生まれ持った性格を大人になってから変えるのなんて、無理じゃないですか。いくら「押しが強いほうが有利」とわかっていても、「押しの強い人間」には、そうそうなれないわけです。
自己啓発系のセミナーの中には、強引に性格を変えようとするものあります。人前で大声だしたりとか、踊ったりとか……。そんなのはとてもついていけない!
フランク・ベトガーが教えてくれる「営業で最も大切なプロセス」
じゃあどうすればいいのか?
押しの弱い営業パーソンは、一生「性格的に不利な営業」でいるのか?
大丈夫! その解決策は、実は60年前にすでに出されているのです!
誰が解決してくれたかといえば……あの「フランク・ベトガー」先生!
そう、『私はどうして販売外交に成功したか』という、まさに〝営業のバイブル〟というべき本の著者で、私も何度も取り上げている偉人です。
(関連記事)「自分の仕事に情熱を持て」保険営業マンのためのフランク・ベトガー
フランク・ベトガーはこの今では営業のスタンダードとなっている手法をいくつも〝発明〟した人。そして『私はどうして販売外交に成功したか』には、「押しの弱い営業」の悩みを解決する方法もバッチリ書かれているのです!
どういう方法かといえば、それは〝相手の話を聞くこと〟、つまり「ヒアリング」に力を入れるということです。
保険営業パーソンにはおなじみの「セールスプロセス」(これも元となる考えはフランク・ベトガーの発案だといいます)の中でとても重要になってくるのが、「アプローチ」と「ファクトファインディング」のプロセス、つまりヒアリングのプロセスです。このヒアリングに関しては、押しの強さは不要。むしろ邪魔になりますよね。だから、押しの弱い性格の人は、このヒアリング力を磨き上げればいいわけです。ベトガーのこの本を読めば、ファクトファインディングの重要性がよくわかります。
あなたはお客様の「コーチ」になれ!
じゃあ、どうやってヒアリング力を磨けばいいか?
私のやってきたやり方をお伝えしましょう。
私の場合、ヒアリング力を磨く手段として使ったのは「コーチング」の手法です。「お客様が人生において最も実現させたいこと」、つまりコーチングでいう「ゴール」を、ファクトファインディングの際に最大限注力して聞き出す、一生懸命探り出すのです。
「お客様のゴールを一緒に探り出して、一緒に設定する」……これがファクトファインディングの一番重要な部分、保険営業パーソンの最大の仕事だと思います。
たとえばサラリーマンのお客様であれば、「家を買う」「お子さんの未来」「幸せな老後」などが典型的なゴールです。それほど「人によってさまざまなゴールがある」というわけではありません。そして自分の保険商品がそのゴールに到達するための役に立つのであれば……そう、共通のゴールが設定できるわけです。
保険商品というのは、いってみれば「お金の入れ物」。そしてほとんどのゴールは、お金がなければ到達できない。これが保険営業の強みです。
お客様にとって保険営業パーソンは、一緒にゴールを探し出し、一緒に到達しようとする〝コーチ〟。そのように自分を使ってもらうための条件が「保険に入る」ということですよ……という話をするわけです。
これが「押しの弱い保険営業」におすすめの手法です。
逆に「押しの強い保険営業」ならば「そんなことチンタラやってるんじゃなくて、ねじ込んでいけばいいんだよ!」というかもしれません。でも、少なくとも私には無理ですね。
「保険を売りたい!」という気持ちは山々なんだけど、それはひとまず置いておいて、一緒にゴールを探るためのヒアリングに力を尽くす。
この方法、ぜひ試してみてください。