コロナ時代に、私たちが運動をしなければならない理由

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書評家・ビジネスプロデューサーの徳本昌大です。コロナ時代、外出禁止の影響で私たちの多くは運動不足に陥り、活動量が落ちているはずです。運動不足は体だけでなく、心の健康にも悪影響を及ぼします。

 

今日はこの運動の効果について考えてみましょう。

 

定期的な運動が人を幸せにする?

 

参考にしたのは、心理学者で、ベストセラー作家でもあるケリー・マクゴニガルの「スタンフォード式人生を変える運動の科学」です。

 

ケリーは体を動かすことで、幸福度がアップすると述べています。

 

「私は長年のあいだに、体を動かすことで気分まで明るくなった人をたくさん見てきた。希望を見出し、新たな気持ちで世のなかと向き合えるようになった人もいる。運動をすることで自分自身の強さを実感したり、自分を解き放てるようになったりした人たちの姿を、私は目の当たりにしてきた」(ケリー・マクゴニガル)

ウォーキング、ランニング、水泳、ダンス、サイクリング、競技スポーツ、ウエイトリフティング、ヨガなど、どんな運動をしている人にもこの幸福のルールは当てはまります。また、定期的に運動している人たちは、目的意識が強く、日常生活において感謝や愛情や希望を実感することが多いそうです。

仲間との深いつながりを感じるため、孤独や気分の落ち込みを感じにくいこともわかっています。

このような効果は、年齢や、社会経済的な地位や、文化のちがいにかかわらず、共通して見られます。狩猟時代の昔から、人は走り回る事を続け、それが脳によい刺激を与え、幸福感を生み出していたのです。

狩猟時代に近い生活を続けるハヅァ族の人びとは、1日の大半を狩猟と採集に費やします。男性たちは手製の弓と毒矢をもって早朝から狩りに繰り出し、小鳥からヒヒまで種類を問わずに獲物を仕留めます。

女性たちは朝からベリー類やバオバブの実を摘んだり、夕ロイモを掘り、食事を探し回っています。

ハーマン・ポンツァーらはハヅァ族の男性19名と女性27名に活動量計と心拍数モニターを装着してもらい、彼らの1日の活動を記録しました。ハヅァ族の典型的な1日の生活では、ランニングなどの中強度から高強度の運動を2時間、さらにウォーキングなどの低強度の運動を数時間おこなって いることがわかりました。

彼らの活動レベルには年齢や性別による差がないどころか、むしろ年齢とともに活動量が増えていたのです。

 

運動不足が現代人を不幸にする?

これとは対照的に、アメリ力人の場合、平均的な成人の中~高強度の運動時間は1日10分未満であり、活動量のピークはわずか6歳でした。

ハヅァ族の生活のしかたこそ人体に適しているとすれば、私たち現代人の生活は、本来あるべき姿からひどく離れてしまったことになります。

 

驚く事に先進国で蔓延している心臓病が、ハヅァ族にはまったく見られませんでした。

同年代のアメリ力人と比較した場合、ハヅァ族のほうが血圧やコレステロールやトリグリセリドの数値が低く、心臓発作をまねく血液の炎たんぱく症反応の指標である「C反応性蛋白」の数値も低かったのです。

また、二大現代病とも呼ぶべき不安症とうつ病が、ハヅァ族には見られませんでした。

 

加速度計を用いたアメリカの研究では、日常生活の身体活動レベルは、人生の目的意識と相関関係にあることがわかりました。

また、実時間追跡では、人びとは座りっぱなしでいるよりも、活発に動いているほうが気分がよくなることや、ふだんよりも活動的に過ごした日のほうが、人生の満足度が高くなります。

アメリカとイギリスの研究では、中強度の運動をしている成人たちに、一定の期間、座っている時間の多い生活をしてもらい、健康状態が悪化するかどうかを観察しました。

ふだん運動している人たちが、2週間ほとんど座りっぱなしの生活をしたところ、不安や疲労感や敵憶心が強まりました。また無作為に選んだ成人を対象に、1日の歩数を減らしたところ、88パーセントの人たちに気分の落ち込みが見られました。

座りっぱなしの生活では、1週間もしないうちに、人生の満足度は31パーセントも低下したのです。

毎日の平均歩数が5649歩を切ると、不安や気分の落ち込みなどの症状が現れ、人生の満足度が低下してしまいます。典型的なアメリ力人の1日の歩数は4774歩、世界の平均は4961歩という状況で、これが幸福度を下げている可能性があります。

幸せになりたければ、座るのをやめ、今すぐ動き回ったほうがよさそうです。

自宅にこもることはとてもリスクが高いので、Zoomやオンラインでの営業の合間に散歩や運動を心がけるようにしましょう。

こんなコロナな時代だからこそ、幸せになるために、運動を生活に取り入れ、習慣化すべきです。

 

人生を変える運動の科学
著者:ケリー・マクゴニガル
出版社:大和書房

徳本昌大

この記事を書いた人

複数の広告会社でコミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、取締役や顧問として活躍中。インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO/Iot、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役/みらいチャレンジ ファウンダー他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数。  サードプレイス・ラボのアドバイザーとして勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。 https://tokumoto.jp/