“法人保険”へのマーケットチェンジ!成功させるポイントとは?

保険営業の皆さんは個人保険から法人保険へ切り替えたいと考えたことはありますか?
挑戦したくても、お客様を獲得するにはどうしたらいいのか分からない。
成功した事例を参考にしたいと思っている人もいるのではないでしょうか。

今回はオカネコ(お金の健康診断)を運営する400Fの戸泉邦康さんから、個人保険から法人保険(事業保険)へマーケットチェンジした経験談を伺います。

個人から法人へ変えるキッカケは?

新人時代は週平均40面談をこなすハードワーカーだった戸泉さん。
このような働き方が出来たのは
●年齢が若かった
●独身だった
●会社の隣の物件に住んでいた
上記の要素が揃っていたから出来たことだと語っています。

ですが要素が揃っているとはいえ、早朝から深夜まで休みなく働き続けるのはとても健康に悪いこと。
こうした働き方は過労に繋がり、心身の不調の原因になります。
年齢を重ねれば体力は落ちますし、結婚しても家族との時間を作る余裕はありません。
そういったことを考え、物理的限界を感じた戸泉さんは法人事業保険への移行を切実に考えるようになります。

 

マーケットチェンジするため、猛勉強

このままではいけないと、事業保険(富裕層、アッパーマーケット)へ移ることを決めた戸泉さん。
まずは法人向け事業保険の知識を身に着けようと、会社にある事業保険の資料等を全て調べました。
更に書店で法人保険、富裕層営業に関する書籍を片っ端から読み込んだそうです。
これらの勉強時間も早朝や深夜、訪問営業の待機時間、移動の合間といった隙間時間を使っていたのですから大変です。

根気強く勉強していく内に、法人事業保険には王道のパターンがあることが分かってきました。
その王道パターンとは「黒字でキャッシュリッチな中小企業の社長ないし幹部役員にプレゼンし、上層部に予期せぬ何かがあった時の事業保障を億単位で提供する」というもの。
いわゆる経営者のVIPプランです。

その次に出てくる王道パターンが「従業員の福利厚生プランによる退職金の財源等の提案」です。
基本的にこの2つのパターンが主軸になることに戸泉さんは気付いたのです。
 

王道に沿った見込み客を探すコツ

王道のパターンが分かれば、次は条件に合う見込み客の発見です。
戸泉さんは「直接探す方法」と「紹介してもらう方法」を取りました。
紹介は会って仲良くなった人、顧客になって頂いた人等に頼んでいたようです。

このように、王道2パターンが提案できそうな見込み客を直接見つける、若しくは紹介して貰うかに注力して活動し、「ファックスDM」や「飛び込み営業」等の他の方法を用いることは一切ありませんでした。
また直接会っていない、紹介してもらっていない人に提案することもありませんでした。
これは会社の先輩や同僚のお客様に声をかけたらトラブルになるため、それを回避するために戸泉さんが考えた工夫です。

また、知り合いの人達に「良い人はいませんか」と聞いても良い答えが返ってくるとは限りません。
ピンポイントで見込み客を紹介してもらう為に、質問の仕方を工夫してみましょう。
戸泉さんは「具体的に条件を限定して質問すると、相手も当てはまる人がいないか考えやすい」と話します。
今回の条件は王道パターンに当てはまる人なので
「未上場のオーナー社長で黒字でキャッシュリッチな方を紹介してください」と聞くのが良いでしょう。
可能性は低いかもと思っても諦めず、まずは聞いてみてください。
思わぬ出会いがあるかもしれませんよ。
 

第1号契約を掴むまでの苦難と修行

初の事業保険契約成立まではドン底の状態だったという戸泉さん。
1、2年目は辛うじて社長杯・MDRTにギリギリ届く成績でしたが
3年目は事業保険の勉強等に時間を追われた影響で、第1クォーターの成績が急落してしまいました。
週間挙績がゼロの時もあったそうです。

そんな時期にとある先輩に声をかけられます。
彼は10年程のキャリアを持った人で「お前が本気で売れたいのなら、私の全てを教えてやる」と提案してきました。
提案を戸泉さんは受け入れ、先輩はメンター(助言者・指導者)になってくれました。
メンターとなった先輩は「礼はいらない。コミッションを分けなくてもいい」と見返りは求めず
「私から学んだことを後輩に教えてやれ」と戸泉さんに伝えるような寛大な人でした。

まず、先輩は週40面談も詰めていた戸泉さんの活動量を減らさせました。
これは「活動量は凄いが、個々の準備が出来ていない」という質の低下を改善させるため。
実際、準備が手薄のまま面談をしていたので、成約率が低い状態でした。
先輩は「お客様一人一人に対して丁寧に準備をしてから会いなさい」と質を上げるよう指摘し、
次第に大きな数字が取れるアッパーマーケットへ移行するよう指導しました。

戸泉さん自身も熱心でした。
勉強で分からなかった部分やトークスクリプトを先輩に教えて貰ったり
社内のチャンピオン経験者やTOT資格者といった優秀なプランナーに直接話を聞きに行く努力をしました。
こうした絶え間ない努力の末、中小企業の社長と福利厚生プランを契約することが出来たのです。
 

事業保険商談のポイント

それでは、個人保険と事業保険の商談にはどのような違いがあるでしょうか。
戸泉さんは基本的な流れは個人保険と変わらないと話します。
基本のスリーステップはこちら。

①アプローチ(オープニングインタビュー)
②ファクトファインディング(ヒアリング)
③プレゼン

①で事業保険の必要性を説明し、②で会社の詳しい情報を伺い、③で商品を売り込む。
個人保険とほぼ同じですね。

具体的なポイントを見ていきましょう。
①ではトークスクリプトを用いて相手が事業保険のメリットを率直に理解できるように工夫します。
戸泉さんはメンターの先輩から教わった「バケツの話(お金を水に例えたもの)」を使っていました。
②では社長の会社に対する想い、何を守りたいのかを伺い、数値化します。
大抵の社長にとって家族や社員は守りたいもの。その想いを実現可能にする為に必要な数値を明瞭にするのです。
まずは聞き取り。
「売上・利益・役員報酬・社員の平均年収・退職金等をいつ、いくら出したいのか」
「何かがあった際、会社はどの位の期間なら売上が下がっても耐えられるか」等を聞き取ります。
今回の福利厚生プランの場合は退職金の希望平均額、社員に何かあった際の弔慰金や死亡退職金を出したいという要望がありました。
次に決算書や社員の一覧表等の細かな資料を確認します。
戸泉さんは決算書も経常利益だけでなく、純資産や借り入れ、流動資産等もチェックしていました。

上記の情報を基に、退職金原資が何歳でどの程度貯まるか等を計算し、保証額を提案します。
望ましい死亡保障のケースと積立金がどれだけ増えるか、2つを掛け合わせて作っていくのがポイントです。

商談を承諾してもらうコツ

 ここまでの技術を身に着けても、そもそもの商談に応じて貰えねば意味がありませんよね。
お客様に興味を持ってもらうポイントを戸泉さんに教えて頂きました。
「保険についてお会いしたいです」と言うと、どうしてもお客様は敬遠しがちです。
保険という言葉を使わず「退職金についてお話ししたいです」「福利厚生のお話しをしたいです」と
具体的な主題を切り出してみましょう。
戸泉さんはこのように持ち掛ける方が興味を持つお客様が経験上多かったとのこと。
また「あなたはどんな仕事をしているの?」と聞かれた際も保険プランナーではなく
「退職金設計を専門にしています」と答えていたそうです。

上記の手法は「最初の一言でイメージが固定される」心理を利用しています。
一度イメージを作れば、初めのイメージが崩れることは基本的にありません。
商談のスタートがどうなるかは、自分の言葉の印象によることを覚えて頂きたいです。

いかがでしたか?
戸泉さんは第1号契約が成立した後、法人保険営業の感覚が分かったことで自信がつき、最終的に年間実績11位、COTになることが出来ました。
この飛躍には所属する営業所が全国1位を目指して盛り上がっていたのも大きな要因になっていたそうです。
営業所も無事、全国1位に輝きました。

新人プランナーの方だと「事業保険は難しい」と思っている人も多いでしょう。
しかし、実績をひとつでも積めば感覚が身に付きます。
戸泉さんは当時をこう例えています。
「山に向かって巨岩を押し上げている間は大変だったが、頂上まで持ち上げれば後は下り坂。ゴロゴロと勢いよく進んでいった」

個人、チームに関わらず大きな目標(ゴール)に向かって地道に奮励する。
必要な時は人に頼り、基礎をしっかり築く。
相手の心情を考え、会話に創意工夫をする。
これらを踏まえた上で、法人・事業保険の営業に活用して頂きたいと思います。

【編集部】

この記事を書いた人