私の営業活動を振り返ります。
東京都内の営業支店で、工業製品の部品を扱っている会社に勤めて居た時の経験です。
当時は二十代の前半で、特に役職も無く年収300万円程度、毎日終電間際まで、がむしゃらに働いていました。
ノルマ設定みたいな物はあって無いような物でした。部品メーカーの営業なんて、大体そうなのかも知れません。
得意先の受注状態によって、自社製品の売れ行きが決まるので、自分が努力しても売り上げには反映されませんから。
しかし、新規の獲得に関して話は別です。他社の部品を使用している企業に、自分の製品を売り込む事で、自分の売り上げに上乗せする事ができますから。
逆に贔屓にして頂いている会社に、他社部品メーカーの営業マンが来た時が腕の見せ所。冷や汗流して退ける、ルートセールスの醍醐味ですよ。
こんな私ですが、部品メーカーさんのお世話になったきっかけは、営業マンを経験してみたい。スーツを着て仕事をしてみたいと思ったからです。
未経験の私は、ノルマノルマで凄い怒られるんじゃないかとビビリながら門を叩いたのですが、実際には良い先輩に助けられて何とか仕事も軌道に乗りました。
ルート営業は、だんだんと慣れて来ます。そして、「ナアナア営業スタイル」が確立しました。本当は良くない事なんですけどね。
テレアポなんて面倒臭くなってきて、「こんにちは!」でいきなり訪問。ご担当様がいなければ「近くに来たので会いたくなってきちゃいました。書類を置いて後で電話しますね」の流れが確率しました。これは、楽をしたいという気持ちが半分、面談で相手に時間を取らせたくないという二つの意味がありました。一日5社前後を訪問するという規定がありましたので、早く事務所に帰って事務作業をする為に必要不可欠な事でもありました。それに、余りにお金の匂いがしない会社や特に大きな問題を抱えていない会社はこの程度で良いと思います。この判断って本当に難しいですが、どれだけ、訪問先企業で好かれているかが重要なんではないでしょうか。
お気楽営業マンの私ですが、きつかったと思う事が多々あります。
『飲みニケーション』
これは本当に辛いです。お酒が得意でない私は週4日程の仕事後の飲みが本当に辛かった。当時新婚ほやほやでカワイイ、そして美人の奥様を待たせてしまう事や夕飯を食べれない事が本当に鬱でした。
飲み会は社内の上司8割、お客様が2割です。これは上司に教わった事なんですが、「会社で偉くなろうと思ったら、社内営業が大事」だそうです。本当に今は身にしみています。自分のやりたい事って営業を続けていると出て来ると思います。しかし、仮に新規製品を起こすとなると、時間、人、お金が膨大な量必要となります。そうした時に、社内で力のある人たちと親しいとある程度融通してくれます。どんなに良い製品でもプランでも、社内で押し通るには、こういう人たちの尽力は必ず必要になって来ます。だから飲みにケーションは本当に辛いですが営業マンには避けて通れない道かもしれません。
『クレーム処理』
クレーム処理もきついです。とある製品が不具合を起こして、相手先の設計者や資材購買担当様数名に取り囲まれ、質問攻めにあった事があります。個人的には全くミスをしていないのに、製品が設計段階でミスをしていたのが原因です。「リコールしろ!」という、ごもっともなご意見が乱舞しましたが、数億円かけてリコールしたら会社が潰れますの一点張りでなんとか乗り切りました。あの会社とは一年くらい闘争していました。
これから営業を目指す人がいるかもしれません。営業って喜怒哀楽の激しい職場です。辛い事も多いと思いますが、楽しいと思える瞬間も同時にあります。何より給料がよいですから。先輩から貰った金言ですが、「悪い事を見ないで良い事だけを見てコツコツ頑張る」が営業マンには必要だと思います。