お客様に渡す書類を全て忘れた…保険営業の体験談。

営業マンの体験談

お客様に渡す書類を全て忘れた…保険営業の体験談。

私は、保険の営業を14年間していました。毎朝9時出社で、朝礼があり、帰る時間はその時々でいろいろでしたが、5時くらいが平均でした。土日祝はお休みで、年収はだいたい400万から500万だったのではないかと思います。契約1件についての歩合が高かったので、下がる時には月10万くらいの時もありました。就職したきっかけは、それまではOLをしていたのですが、結婚で転勤させてはもらいましたが、仕事内容が全く変わってしまい、また課の女性陣と馴染めず、辞めました。その時に、事務所担当だった保険の営業の方に、「研修だけでも受けてみないか」と言われ、保険の勉強だけでなく、税金の勉強もできるとの事で、将来役立つと思い、とりあえず1か月の研修を受ける事にしました。

研修はとても楽しく、今までは、営業と言うものを避けてきましたが、もしかしたら、保険の営業は楽しいかもとなんとなく思い、仕事をする事にしました。初めは、何もわからないので、先輩と一緒に企業を回りました。先輩が、企業のお客様ととても親しみやすいお話していて、押し付ける営業を全くせず、ご自分が開拓した企業を、私の為に譲って下さいました。先輩の評判が良かったので、とても気持ち良く担当する事ができました。1件契約を取る事で、何が起きるのかは全く知りませんでした。いつも先輩と一緒に回る訳ではなく、1人で回る事がもちろんほとんどでした。良い先輩だったので、相談もとてもしやすかったです。その月に、何件かご契約いただき、他の先輩方からもお祝いの言葉をいただきましたが、壁に貼られる成績の札が上がっていく事が嬉しいと思い、ご契約をいただけた時の感動は今でも忘れません。その月の契約が、お給料に反映した時に、本当に驚きましたし、やりがいを感じました。こんなに楽しく仕事ができて、更にお給料も上がるのは、私の力ではなく、先輩とお客様のおかげといつも感謝していました。

主に企業のお昼休みに、事務所に回らさせていただきました。逆に、お昼休みはゆっくりしているから、昼休みを外して来て下さいと言う企業もありました。企業のお客様は皆さん紳士的な方ばかりでした。地区も担当をしていましたが、地区はとても大変でした。怒鳴り散らすお客様や、居留守を使われるお客様、アポ時間に居ないお客様の割合が高かったです。ご契約をいただく前も後も、フォローはとても必要です。保険とは全く関係のない趣味のツールをお持ちしたり、ちょっとしたお菓子をお持ちしたり、お客様にも負担のならない程度の物をお持ちしたりしていました。

ある日、外でお客様とお話する事が決まっていて、お付き合いの長い女性のお客様だったので、きちんとお話すれば、まずご契約は頂けるだろうと思って、営業所を軽い足取りで出て行きました。車で向かったのですが、書類入れたカバンを途中確認してみると、なんと設計書やら申込書やら一式全て営業所に忘れてしまっていました。かろうじて、持ち歩きできるパソコンは持って出ていたので、パソコンで説明をするかと思いましたが、お客様にお渡しする書類が全くなかったのです。営業所に戻る時間はありません。どうしようかと必死に考えました。お客様と待ち合わせしているお店に一番近い営業所がある事に気づきました。普通、他の営業所で、書類を印刷する事はありません。しかし、緊急事態だった為、そこの営業所の所長さんにお願いして、印刷させてもらいました。

待ち合わせ時間は、少しずらしていただきましたが、30分も遅れる事なく、お客様にお会いする事ができました。アポの時間帯に間に合うように、ギリギリに営業所を出発したのではなく、余裕を持って出発していたのが良かったと思いました。また、何年経っても、それ以降ご契約がないとわかっていても、ずっとお客様のフォローをしていけば、ご紹介だったり、今回の件のように、待ち合わせ時間に遅れるお願いをしても、気持ち良く受け入れて下さいます。あとは自分が悪くないと思っても、とりあえず、一度謝罪をして、お客様のご意見を聞く事が必要です。無理をしない、契約契約とせかされても、自分のペースで進んでいく、それが営業を長くやっていくコツなのではないかと思います。

現在は保険の営業は辞めていますが、教育関連の仕事をしていて、保険の営業の仕事がとても役に立っています。まずは、お客様のお話をお聞きして、押し付ける営業はしない事です。1人のお客様にすがっていても、前には進めません。なるべく多くのお客様と接し、ご契約がなくてもご挨拶をしていると、自然にご契約につながっていきます。OL時代は営業は絶対に無理と思ってきましたが、やっていくと、辛い事もありますが、結果的にはとても楽しくお勉強になると思います。