プライベートに踏み込み泣き落としまでした保険の営業マン…20代女性の体験談。

営業マンの体験談

プライベートに踏み込み泣き落としまでした保険の営業マン…20代女性の体験談。

OLだった私(当時26歳)が、未だ母(当時48歳)と兵庫県で暮らしていた時のことです。当時は私の勤める会社にも、いろんな保険会社の女性営業マンが頻繁に出入りしていましたので、勧誘がどんなものかは分かっていたつもりです。特に年配の女性による保険の営業のやり方は恥も外聞もなく、仕事中の私たちに飴を配りながらお世辞の一つも言ったり、役職のある人間には媚びたり、歯の浮くような言葉で持ち上げたりする場面を何度か目撃していました。ですので、保険の営業マンと言う職業に特別な嫌悪感を抱いたのも、自然の成り行きだったんです。それがまさか、自宅で勧誘を受けるとは思ってもみませんでした。

その当時、50歳位で背が小さく、少し太めの女性で一見、普通の主婦、そんな雰囲気の女性が殆ど毎日、ご近所さんを回ってはインタ―フォン越しに、国内生命保険会社の○○だと名乗っているのを耳にしていました。ご近所さんは小さな子どものいる若いママさんや高齢の夫婦など、普段は家にいる人ばかりだったのですが、それでも誰一人として、玄関のドアを開ける気配はなかったんです。母と私も息を潜めて、居留守を決め込みました。何度か鳴ったインタ―フォンもその内、聞こえなくなり、諦めたのか、女性営業マンの姿はいつの間にか見えなくなっていました。

翌日は土曜日で、母といつものようにショッピングへ出掛ける予定でした。私が2階の自分の部屋で身支度を整えていると、階下のインターフォンに母が応答していたんです。窓から見えたのは間違いなく、あの保険の女性営業マンで、 玄関前に立っていました。母が片言の日本語を話すアメリカ人だと分かった途端、友達のような馴れ馴れしい言葉使いに変わり、新しい生命保険の紹介をさせてくれ、と懇願するではありませんか。そんな女性営業マンを、母は簡単に家の中に入れてしまったんです。もう、ショッピングに出掛けるどころの話しではありません。完全に女性営業マンのペ―スに乗せられしまった母に、長年、継続している生命保険を解約して、医療保障を手厚くした新しい保険に契約し直す、つまり、保険の転換を強く勧める内容でした。実は父の趣味のゴルフで交流を深めているご近所さんが、この保険の転換で大変なトラブルになったことがありました。それで、安易に保険の転換に応じる怖さを、母と私は父から教わっていたんです。もちろん、女性営業マンがそんなことに微塵も気付く筈もありません。

私が一番、腹正しさを覚えたのは、女性営業マンのデリカシ―のなさです。保険の話しの合間合間に母と父の出会いなど、プライベ―トまで踏み込む卑劣な営業の手口。私の不快な心情とは異なり、母は女性営業マンと話す間中、笑顔を絶やすことがなかったんです。そんな母の姿を見て、すぐにでも女性営業マンを追い出したい気持ちをぐっと堪えました。

ノルマを達成できないと首になる、半泣きの意外な言葉が女性営業マンから飛び出したのは、母が最終的に保険の転換は必要ないからと、やんわり断った直後でした。そしてカバンに詰め込んだ顧客のための景品を全て私たちに見せ、会社の支給品ではない、全部、自腹を切って購入したものだと女性営業マンは告白までしたんです。そんな内輪の話しは普通、人に聞かせるものではありません。単に私たち親子の同情を引き、契約を促す魂胆があったとしたら、これは本末転倒もいいところです。本来、生命保険と言う人の役に立つ筈のツ―ルが、ノルマ達成のための道具に悪用されている気がして、保険の営業マンだけでなく、保険会社そのものへの不信感が増幅しました。

何度も頭を下げ、契約締結を私たちに求めた保険の女性営業マン。母は帰る間際に女性営業マンの手を取って労をねぎらい、また、いつでもいらっしゃいと声を掛けました。しかし、再び彼女が私たちの前に姿を見せることはありませんでした。保険の営業マンの人には自分自身のノルマ達成を頭に思い描く前に、私たち一般人のためになる保険の選択や、その保険、例えば保険の転換を勧める場合、どんな利点や不都合が発生するのか、包み隠さず、正直に分かり易く伝えて欲しいですよね。それに本来の仕事を忘れて、プライベ―トまで踏み込み過ぎるのはマナ―違反です。保険の本当の良さを私たちが理解すれば、姑息な手段を使わなくても、新規契約の締結に繋がるのではないでしょうか。