慕っていた先輩が保険の営業になったので恩返しをしたかったが…女性の体験談。

営業マンの体験談

慕っていた先輩が保険の営業になったので恩返しをしたかったが…女性の体験談。

国内生命保険の女性の営業さんは、会社で共に働いたことのある先輩でした。愛知県内の商社で私と一緒に事務職をしていて、先輩だった人が会社を退職して、転職先が生命保険会社の営業でした。元先輩(以下、Aさん)には同じ会社で働いていたときにとてもお世話になったので、Aさんの勧める保険に入ることで恩返しが出来ると考え、最初はとても好意的に保険の話を聞くつもりでいました。

Aさんはとても華やかな美人です。憧れの人でした。例えば、30名位の人の中にいても、1番か2番になるくらい人目を引き、一緒に吞みに行ったときに、見ず知らずの男性から声をかけられるところを何度か見かけました。男性受けもよく、人に悪い印象を持たれる事が無く、特に、第一印象がとても良い人です。女性からも特に年下の女性から慕われる人でした。

Aさんと私は、愛知県内で在住で、JRの駅が同じで、すぐ近くに住んでいたので、連絡を取り合えばすぐに会いやすい環境でした。Aさんの転職先は国内生命保険会社で、誰もが名前を知っている大手でした。先輩は再会してすぐに、まずは主人の生命保険を私に勧めて来ました。当時、私は29歳で、新婚でした。ちょうど、結婚を機に夫婦の保険を一通り見直して、主人の会社を通じてまとめて入り直したところでした。保険について、詳細は主人に確認しなければならないことや、正直なところ、Aさんに一緒に働いていた時にお世話になった恩が無ければ、保険を見直す必要性は無い状態でした。

Aさんの営業は、こちらに話をする間をくれず、考える時間をくれず、こちらの都合を待ってくれないスタイルでした。これでは、いくらAさんに恩があっても、自分たちの保険を任せる気持ちにはなりませんでした。最初に保険の説明を受ける目的で会ったときから、こちらが話すタイミングがないほど説明に熱心で、とにかく保険に加入するという私からの答えを手に入れることだけに積極的でした。Aさんは転職して、結果を早く出したい姿勢がひしひしと伝わって来るので、真面目なAさんらしくて事情も分かるのですが、駅の近くの喫茶店で説明を受けている中、近所の人も同じ喫茶店にいて、周囲の人が振り返るくらいに大きな声で、私がプライベートだと感じる内容を話してしまうことに、不快感を覚えました。途中で声のボリュームを下げて欲しいとお願いしようとしましたが、まず、「声のボリュームを下げて欲しい」
とこちらが声を出す間を与えてくれませんでした。あまりにAさんが機関銃のように話し続けるので、「Aさん、ちょっと話しを止めてください」と強引に止めて、ボリュームを下げて欲しいとお願いすると、相手はとても不満そうな表情を浮かべてしばらく黙り込んでしまいました。資料を整理しながら、イライラしている様子が伝わって来ました。保険の説明を一方的に端折られて、やりづらそうに見えました。

会話のキャッチボールが出来ないし、こちらからの質問をする間もない状態で2時間ほどを過ごして疲れてしまったこと、主人に相談しないと私に保険の変更の決定権が無いことを理由に、その日は資料と話しを聞いて、主人と相談するということで別れました。主人は海外出張だったので、帰ってきてから改めて連絡するため、1週間ほど時間を欲しいとお願いしました。Aさんは、会ったその日の夜遅くに、主人に相談して保険を決めるのではなく、私自身が自主性を持つべきだと電話をして来ました。その電話も1時間ほど機関銃のように話す状態で、さきほど別れたばかりなのにとても負担を感じました。

主人が出張から戻ってくるまでの1週間、「ご主人が出張中でも連絡が取れるでしょう?」と言われたり、何度も返事を急かされました。時差があること、出張中も業務に追われたりお客様との時間が優先なので、保険のことは帰ってから相談したいと何度言っても「自主性を持って保険を決めて」と言われて、とにかくしつこく答えを求められました。具体的に暴力を受けたとかものが壊れたとか、何か損害を受けたわけではありませんが、慕っていた先輩との関係を保険の営業によって壊されてしまう感覚を覚えました。主人の出張からの戻りを待ってくれないこと、夫婦で検討する時間を持たせてくれないことで、結局、二度目に話しを聞く前に、主人と相談することも無く断りました。Aさんはとても怒っていましたが、待てないなら仕方がありません。出張から戻った主人も同じ意見でした。保険のプラン自体は決して悪いものでなく、入っても良いと思っていたので、営業さんが私たち夫婦に検討する時間を持たせてくれさえすれば、その保険に加入していたと思います。

それ以来、少しでも、もともと知り合いの保険の営業さんとは関わらないと決めました。保険に加入するならば、全く面識の無い営業さんから入ろうと決めました。保険の営業さんの大変さは、私には想像も及ばないと想像します。人の生命に関わることを商品として扱うわけですから、ストレスも相当なものでしょう。でも、顧客それぞれの事情や、考える時間や、対話、疑問や質問に答える姿勢、そういう一つ一つの姿勢が、「この人なら保険のお世話になりたい」という信用に繋がるのではないでしょうか。顧客の事情に合わせて待てる営業さん、歩み寄りのある営業さんを私は魅力的だと思いますし、今お世話になっている営業さんは、そういう方です。保険の営業さんにとって、例えば、私はたくさんいる顧客の中の一人かもしれませんが、私にとって、保険の営業さんは一人なのです。